これでEVタクシーに乗りやすくなる、日産が新しい乗車場を実験へ:電気自動車
神奈川県などで導入が進んでいる電気自動車(EV)タクシー。利用してみたいと思っても、最寄りの乗車場にEVタクシー専用のスペースがなかったので、結局乗車できなかった……日産自動車が考案した「EVタクシーシェアのりば」はこういった問題を解決してくれるかもしれない。
日産自動車は、電気自動車(EV)タクシーの普及を目的とした「EVタクシーシェアのりば」の実証実験を2012年4月18日から始めると発表した。
EVタクシーは、走行中に二酸化炭素を排出せず、乗り心地が快適で、ランニングコストも優れているといった特徴の一方で、走行距離が短かったり充電時間が長かったりするため、既存のタクシーと比べて営業機会が少なくなるという問題がある。今回発表したEVタクシーシェアのりばは、EVタクシーの営業機会を増やすための試みとなる。
EVタクシーシェアのりばとは、EVタクシーと既存のタクシーが交互に配車されるタクシー乗車場のことである。タクシー乗車場の近くにある待機所内に、EVタクシー専用のエリアと既存のタクシーが待機するエリアを設けることで、待機所から乗車場への配車を交互に行うことができる。つまり、タクシー乗車場を交互に利用(シェア)することで、EVタクシーの営業機会を増やせるわけだ。
比較的広いタクシー乗車場であれば、EVタクシー専用のスペースを設けられるが、全てのタクシー乗車場がそれだけの広さを有しているわけではない。そこで、タクシー乗車場内にEVタクシー専用のスペースを設けられない場合や、EVタクシーの台数が少ない場合でも、EVタクシーの営業機会を増やせるような方策として今回のEVタクシーシェアのりばが提案された。
実証実験の実施場所は、済生会横浜市東部病院のタクシー乗車場で、期間は4月18日〜7月20日の約3カ月間。時間帯は平日の午前8時〜午後6時(祝日を除く)となっている。参加するEVタクシーは、日野交通の4台と東宝タクシーの2台で、合計6台。EVタクシーシェアのりばを使ってEVタクシーに乗車したユーザーのアンケートと乗務データから、その有効性を検証するという。
なお、今回の実証実験は、日産自動車が、神奈川県や同県タクシー協会、同県個人タクシー協会と共同で進めている「かながわEVタクシープロジェクト」と、横浜市と共同で進めている「ヨコハマ モビリティ プロジェクト ゼロ(YMPZ)」のジョイント活動となっている。
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