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童心に返る――春のおばかモノづくり祭エイプリルフール、そして技術の無駄遣い(4/4 ページ)

仕事中には見ないでください!? 各地のモノイストから、おばか製品の数々が寄せられてしまったので紹介する。年に一回なので、笑って許して!

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5.KC-01

 かつて長野県内の大手OA機器メーカーの設計室で働いていた橋爪氏(「僕が理想とする設計会社を作ってみた」を参照)。当時、社内の設計者たちの間で、ある遊びがはやっていた。読者の皆さんも小学生のころにやったことがあると思うが、相手の尻をめがけ、指を突き刺すという、いわゆる「カンチョー」という遊びだ。ただ、ここで1つ注意したいのが、“大の大人たちが、本気でやる”遊びだったことだ。「やられた側は数時間悶絶し、いすにも座れないくらいのダメージを負う」ほどだったという。

 当時、橋爪氏にとって(カンチョーの)ライバルだった同僚が、立ち姿勢で図面を見ていた際、「今がチャンス!」と“渾身(こんしん)の一撃”をぶつけたところ、見事命中。しかしこのとき、橋爪氏は“メカ設計者の命”ともいえる指を骨折してしまったのだ(全て実話)。ライバルが、力強く尻の筋肉を締めたばかりに。

 遊んでいたときに負傷したため、当然、労災にはならず……。

 しばらくの間、橋爪氏の業務効率は、大幅に落ちてしまうことに。そう、憎きライバルのせいで……。

 ――ふと、この話を思い出した白川氏は、「いまこそ、僕のメカ設計力で、お世話になっている橋爪社長にリベンジの力を!」と奮い立つ!

 社内の仲間にも協力してもらい、基板設計から筐体設計、製作と、寝る間も惜しんで取り組んだ。

 そして生まれたのが、この「KC-01」だ。


カンチョーマシーン「KC-01」を装備したスワニー 代表取締役 橋爪良博氏:SWANYのロゴ入り。「光ってかっこいいぜ!」

技術概要

◇製作について

  • 切削加工:ケミカルウッド・アクリル・アルミ(A7075)
  • 光造形:透明樹脂
  • カット基板制作・表面実装
  • 構想・制作:3週間弱

◇設計コンセプト

  • 強そうに見える大げさなデザイン
  • 武器や鎧の要素を取り入れる:手だけでなく腕全体でアピールする、篭手(こて)のような形
  • SWANYのロゴを大きく取り入れる
  • 金属削り出しなど、オーバースペックな材料と加工法を導入
  • そして、男心をくすぐる

◇設計検討

  • ゼロから美しい面を作り出す
  • 美しい面上に、カッコイイディテール
  • 関節が動く手や腕にどうやってパーツを合わせるか
  • 部品同士の合わせはどうするか
  • リンクを使った場合、可動範囲の設定はどうするか
  • LEDギミックの搭載
  • 内製にこだわる
  • 全て社内で制作する
  • 新規切削材料の実験
  • 光造形
  • 塗装
  • 研磨
  • カット基板作成&表面実装

◇おばか追求

  • 社長の体験談
  • カンチョーに造詣の深い社員 I
  • カンチョーという行為を観察し、必要な機能を抽出し機能をデザインに落とし込む
  • とにかく派手なカンチョーを追求


 相手が尻の筋肉を強く締めたとしても、指部に設けたガードが守ってくれるので、橋爪氏が骨折する心配は無用だ。基板設計、筐体デザイン・設計、製作と全ての工程をスワニーの社内で全て行った。指先の金色のガード部は、自社の設備でアルマイト処理した。


使用法:標的が立っている状態かつ油断している間に、すかさず攻撃する。できるだけ低い体勢で構える

KC-01 開発チームリーダー 白川氏(中央)と、スワニーのエンジニアの皆さん:女性エンジニアも活躍する。メガネ男子の比率が異様に多いことにも注目したい

 開発は大成功! 橋爪氏は現在、元同僚へのリベンジを計画しているということだ。


編集部注:一部が実話ですが、フィクションも含まれます。商品化は、一部あるかもしれません。造形時間などの技術概要は本当です。


IT企業から、メカ設計者に朗報?


日本コンピューター開発のエンジニア 高橋裕一氏

 東京都品川区のIT企業 日本コンピューター開発のエンジニア 高橋裕一氏(同社 海老名支店勤務)が結構適当に考えた、メカ設計者のための画期的なソリューションの案(単なる夢?)を紹介する。「フリーハンドでデザインしよう」は、設計者の頭の中にあるイメージを、即、3次元モデル化できるというシステムだ。「GPSの精度が、cm単位になれば、できるはず」(高橋氏)。


フリーハンドでデザインしよう
関連リンク:
日本コンピューター開発

編集部注:技術に関する言及にウソが含まれます。


金型エンジニアから、映像製作のお願い


モールドテック 代表取締役の落合孝明氏「起きてます」

 最後に、「金型は設計できても、映像は作れません」という神奈川県藤沢市の金型設計会社 モールドテックの代表取締役 落合孝明氏からの告知。同氏が仕事の息抜きがてら考えた、特撮ヒーロー系ストーリーのキャラクターデザインの紹介だ。同社ではこちらを実写化もしくはアニメ化してくれるプロダクションやクリエイターを募集している。

「若者離れが進む製造業に憂いを感じる。若いうちからこの業界に興味を持っていただけるような作品、家族で楽しめる夢のある作品に仕上げていただきたい。この作品を通じて、モノづくりの楽しさを幅広い世代に伝えたい」(落合氏)。


トレーディングカード(構想)

編集部注:企業としてではなく、個人的に募集しています。


 このたびのおばかモノ祭りは、カンチョー、“あの物体”など、どことなくノスタルジックなモノづくりとなった。大人になっても、少年や少女だった頃の感性を忘れられないものなのかもしれない。そういう純朴な(?)感性が、柔軟な発想を生み、ひいてはユニークな製品企画へとつながっていくのだろう。

 最後に、担当記者の失礼極まりないお願いに、本気で乗っていただいたすてきな企業各社に、心から感謝を申し上げたい。

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