ホンダとナビタイムも“脱カーナビ”、ディスプレイオーディオが中核に:第3回 国際自動車通信技術展 リポート(2/2 ページ)
「第3回 国際自動車通信技術展」では、トヨタ自動車、ホンダ、NAVITIMEの3社が展示した、スマートフォンと車載ディスプレイの連携で実現するカーナビゲーションに注目が集まった。このカーナビゲーションでは、スマートフォンとともに、ディスプレイオーディオが重要な役割を果たすことになりそうだ。
「インターナビ」のiPhoneアプリが登場
ホンダは、同社の純正カーナビ向けサービス「インターナビ・プレミアムクラブ(以下、インターナビ)」の機能を活用したカーナビゲーションアプリを、Appleのスマートフォン「iPhone」向けに開発していることを明らかにした。
同社はこれまで、Google Mapsなどの地図データ上に走行ルートを表示する機能を備えたスマートフォン用のアプリを提供していた。これに対して開発中のアプリは、カーナビゲーション専用の地図データを使ったルート検索やルート設定、音声案内、オートリルートなど、既存のカーナビとほぼ同じ機能を有している。また、ルート計算をホンダのクラウドシステムで実行する「インターナビ・ルート」や渋滞予測といったインターナビのサービスも利用できる。
カーナビゲーション用の地図データは、あらかじめiPhone側に保存せず、走行区域周辺のデータを逐次ダウンロードする。ただし、一度ダウンロードした地図データはキャッシュメモリ内に一時格納されるので、「通勤時のように走行区域がほぼ同じであれば、キャッシュメモリ内のデータを使うので地図表示は高速になる」(同社)という。地図の縮尺は20mスケールまで拡大できる。
また、この開発中のアプリを組み込んだiPhoneと連携して動作するディスプレイオーディオ(ホンダアクセス製)を、アプリのリリースに合わせて発売する予定である。このディスプレイオーディオは、6.1インチのタッチパネルを採用しており、ワンセグ放送の受信やバックモニターの表示、ハンズフリー通話が可能である。
ディスプレイオーディオとiPhoneの接続には、iPhone下部のドックコネクタと、ディスプレイオーディオのUSBインタフェース、車速パルスなどの情報を取得する車両内部のインタフェースを接続する専用ケーブルが必要である。
ナビタイムはAndroidの連携アプリを参考展示
ナビタイムジャパンは、ディスプレイオーディオとAndroidスマートフォンを連携させるナビゲーションアプリを参考展示した。この展示では、ディスプレイオーディオのUSBインタフェースとAndroidスマートフォンのmini USBインタフェースの間を1本の汎用のUSBケーブルで接続している。
ナビタイムは、「スズキの『MRワゴン』をはじめ、ナビゲーション機能を持たないディスプレイオーディオの搭載が急速に広がっている。これに合わせて、ディスプレイオーディオとスマートフォンを連携動作させるナビゲーションアプリの需要も拡大する」と見ており、2012年内にもアプリをリリースできるように開発を急いでいる。
このナビゲーションアプリは、ナビゲーションアプリの画面と音声をUSBインタフェース経由で送信し、ディスプレイオーディオ上で表示/再生する機能を持つ。展示では、ディスプレイオーディオを模したタブレット端末に、ナビゲーションアプリから送信される画面と音声を表示していた。実際にディスプレイオーディオとの連携動作を実現するには、ディスプレイオーディオ側にも何らかのソフトウェアを組み込む必要がありそうだ。
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