インドが底力を発揮、「燃費100km」を実現した車が登場:電気自動車
15万円(10万ルピー)の安価なガソリン車「ナノ」。インドの自動車は安さだけなのだろうか。どうやらそうではないようだ。タタ自動車は100kmという驚異的な燃費を実現するハイブリッド車を開発、取り回しの良さと併わせて、新しい車の姿を訴え始めた。
燃料1Lで最大100km走行できるハイブリッド車が現れた。
インドTata Motors(タタ自動車)は2012年3月6日、コンセプトカー「Tata Megapixel」を82nd International Motor Show(ジュネーブモーターショー、2012年3月6〜18日、スイスのジュネーブで開催)で公開した(図1)。
リチウムイオン二次電池*1)を搭載するレンジエクステンダータイプのハイブリッド車である。燃料でエンジンを駆動し、エンジンが発電機を回して、モーターのみで走行する。燃費が高いため、燃料を1回給油するだけで900kmの連続走行が可能だとした。
*1) 電池の正極材料はLiFePO4(リン酸鉄リチウム)であるという。LiFePO4正極は長寿命で安定性に優れた安価な材料だが、パワー密度(車の加速性能に影響する)がいくぶん低い。
燃費以外にモーターや充電にも特長あり
Tata Megapixelは、2011年のジュネーブモーターショーで公開したコンセプトカー「Tata Pixel」の改良版でもある。
Tata Pixelは縦列駐車などを容易にする「Zero Turn」技術を取り入れた小型車だ。IVT(toroidal traction-drive Infinitely Variable Transmission)を採用したことで、左右の後輪を最適な回転数、回転方向に制御でき、最小回転半径を2.6mに抑えた。
Tata Megapixelの最小回転半径はTata Pixelと同水準の2.8mだ。IVT技術を採用したのだろうか。そうではない。4輪に4つのインホイールモーターを埋め込んでおり、独立に制御することで実現した。
充電方式として、充電用ケーブルを使わない無線充電(非接触充電)を採用。例えば、自宅に設置した充電パッドの上に駐車することで、電磁誘導方式の無線充電を利用できるという。
以上のようにTata Megapixelは単に燃費が良いだけという車ではない。同社は世界でも最も安価な4人乗り乗用車の1つである「Tata Nano」を量産している。Tata Megapixelの登場によって、今後は、低価格だけではない車の価値を訴えていくことになる。
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