太陽光の買い取り価格は据え置き、経産省が発表:スマートグリッド
太陽光を含む「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が2012年7月から施行される。だが、買い取り価格や買い取り期間を決める第三者委員会はまだ設立されていない。施行が迫る中、4〜6月の太陽光の買い取り価格は、2011年度から据え置かれることが決まった。
経済産業省(資源エネルギー庁)は2012年3月1日、「太陽光発電の余剰電力買取制度」の買い取り価格を発表した。2012年4〜6月の期間中、電力会社と新たに買い取り契約を申し込んだ場合の価格は、2011年度と同じ価格となる。例えば42円/kWhだ。
具体的には太陽電池の容量や他の発電設備との組み合わせ(ダブル発電)、設置時期により、買い取り価格は6種類に分かれる(表1)。
7月からは制度がどう変わるのか
今回発表があった太陽光発電の余剰電力買取制度は、2009年11月から実施されている。住宅などに設置した太陽光発電システムを対象としており、自家消費分を除いて余った電力を一定の価格で10年間、電力会社が買い取る制度だ。
2012年7月から始まる「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)では風力や出力3万kW未満の中小水力発電、地熱、バイオマスを対象に加える(図1)。住宅での太陽光発電では従来同様、余剰電力の買い取りという形を採るため、既に設備を設置した住宅では、買い取り価格は変化しない。
図1 2012年からの買取制度の概要 住宅用の小規模太陽光を越えて、5種類の再生可能エネルギーの普及を目指した制度である。再生可能エネルギーを買い取るための費用は、電気を利用する消費者が使用量に応じて、「賦課金」という形で電気料金の一部として負担する。賦課金の額は全国一律である。出典:政府公報オンライン
ただし、メガソーラー(大規模太陽光発電所)や他の再生可能エネルギーと合わせて買い取り価格や買い取り期間を新たに定めるため、7月以降に新規に設置した場合の買い取り価格は現在とは異なったものになる可能性がある。
例えば、現行制度の買い取り価格は2011年4月にそれまでの48円/kWhから42円/kWhに引き下げられている。これは太陽光発電システムの価格が順調に下がっていることを反映したもので、今後の技術革新を促す働きもある*1)。
*1) 再生可能エネルギー市場が十分立ち上がるまでは、政府による支援制度は欠かせず、制度設計がまずいと市場に悪影響を与える(関連記事:制度に翻弄される国内の風力発電、FIT導入で大幅増は可能なのか)。
経済産業省は、今回発表した2012年4〜6月の買い取り価格と、7月以降の買い取り価格とは直接の関係はないとしている。なお、7月からの買い取り価格と買い取り期間を定める第三者委員会は、まだ設立されておらず、現在国会に人事案が送られた段階である。
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