Android搭載タブレット端末で成功する鍵とは何か:金山二郎のAndroid Watch(4)(1/3 ページ)
金山二郎のAndroid Watchの第4回。発売当初、さまざまな課題により普及に結び付かなかったAndroid搭載タブレット端末だが、最近、急速に進化を遂げている。「IceCreamSandwich」の登場、高性能なCPUが安価に手に入るようになったことを背景に、スマートフォンやタブレット端末にとどまらず、多種多様な組み込み機器にまでその活躍の場が広がりそうだ。今回はこうした流れを踏まえ、Android搭載タブレット端末の今後あるべき姿に迫る。
発売当初はいろいろと課題があり、売上や普及になかなか結び付かなかったAndroid搭載タブレット端末ですが、最近はどんどん進化してきており、今年(2012年)は大きな成果が上がると予想されます。また、タブレット端末だけでなく、Androidを搭載した多種多様な組み込み機器の本格利用も今年から始まると考えられます。
こうした流れを踏まえ、今回は「Android搭載タブレット端末の今後あるべき姿」について解説します。
なぜAndroid搭載タブレット端末は売れなかったのか
いきなり厳しい話から入りますが、振り返ればAndroid搭載タブレット端末のこれまでの歴史は「売れなかった歴史であった」といっても過言ではないくらいでした……。いろいろな調査結果が出ていますが、昨年(2011年)後半、Appleの「iPad」のシェアは70%前後を占め、Androidはその残りの大体を獲得したという結果であったようです(図1)。
1年前のAndroid搭載タブレット端末のシェアが“皆無”に等しかったことを考えれば大躍進であり、「iPadの将来が危ぶまれるだろう」と予想する方もおられます。しかし、山のように製品化されたAndroid搭載タブレット端末が“束になって掛かった結果”であることを考えると、やはり厳しい数字であるといわざるを得ません。何しろ、Android搭載タブレット端末を製品化しているメーカーは、Samsung ElectronicsやLG Electronicsなどの主要企業だけでも数10社、中小を足し合わせると1000社はくだらないと考えられます。そして何より、Samsungをはじめ、Android搭載タブレット端末の開発に巨額の投資をしているはずですが、残念ながらそれに見合う売れ行きとはとても思えません。
では、なぜ売れないのでしょうか? 売れないのには“売れないなりの理由”があります。主な理由3つを挙げてみましょう。
- iPadの二番せんじであるというイメージを拭い切れなかった
- ソフトウェア、ハードウェアともに未熟であった
- マーケット運営に失敗した
売れない理由1:iPadの二番せんじであるというイメージを拭い切れなかった
実はこれが一番の原因かもしれません。何しろAppleがタブレット端末という分野を創造し、その第1号としてiPadを世に送り出したからです。iPhoneの大ヒットも後押しし、「タブレット端末すなわちiPad」という意識(イメージ)は今後もしばらく維持されると考えられます。
売れない理由2:ソフトウェア、ハードウェアともに未熟であった
Appleは、iPodやiPod touch、iPhoneで得た知識と経験を基に、完成度の高いiPadを発売しました。ハードウェア性能という点でそれほど高くはなかったiPhoneが、当時Windows Mobileなどを搭載していたハイスペック電話機よりも使い勝手に優れていた理由として、“ソフトウェアとハードウェアのバランスが良かった”点が挙げられます。Appleは、画面レイアウトをシンプルにし、解像度を低めに抑え、CPUもそれほど高性能ではないものを用いている一方で、“ユーザー体験”には極端に気を使い、そのためのハードウェア支援も思い切って行っています。
これに対してAndroidは、言い方は悪いですが「オープンソースの寄せ集め」という側面があり、“無駄に太っている”ことは紛れもない事実でした。VM(Virtual Machine)方式の採用はよかったと思いますが、特にUI(User Interface)については、開発者のモチベーションからして大きなギャップがあったと考えられます。また、ハードウェア構成についてもいわずもがなで、当時Windows Mobile携帯電話を作っていたメーカーが、Windows Mobileの代わりにAndroidをこぞって採用しました。iPadとAndroid搭載タブレット端末についても全く同じことがいえます。
売れない理由3:マーケット運営に失敗した
こちらもAndroid搭載スマートフォンとタブレット端末の両方にいえることですが、マーケットの状況がよろしくありません。「Android Market」はアプリケーションの登録に承認が必要ないということから、登録数は急激に伸びましたが、root化された端末からアプリケーションを引き抜いて、それを再度Android Marketに登録するような行為がはびこったこともあってか、有料アプリの売れ行きはAppleの「App Store」に遠く及ばず、6倍もの差が開いているといわれています。
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