品質管理に活用される主な統計的手法「特性要因図」:実践! IE:現場視点の品質管理(10)(3/6 ページ)
魚の骨は多ければ多いほどいい? 特性要因図の作り方から検証方法までを解説。使い倒して技能アップを目指そう!
特性要因図の作り方(一般的手順)
特性要因図の作り方を「回転ムラ」という特性(問題)を事例に、具体的な手順を示すと以下のようになります。
(1)品質特性(結果)を決める→「回転ムラ」
例えば、工程内で発生している不良を調査してみると、不良の大部分が回転ムラから起こっていることが分かりました。「回転ムラ」をなくすために、ムラが発生する原因は何なのかを調べることになりました。
(2)特性と要因の線を引く
品質特性(例:回転ムラ)を右に書き、左から右に向けて太い矢印を記入します。
(3)大項目を中枝で示す
品質特性に影響する原因のうち、大きくまとまっている項目をやや細い矢印で、図2のように中枝を記入します。
このとき、5M(人、機械、材料、方法、測定器・測定方法)を中心に、バラツキの発生する大きな原因と考えられるものをグループにまとめて、それを中枝にしていくと、漏れなく効率的にまとめていけます。この大きな要因に枠を付けて、太い矢印の両側にバランスよく配置して記入していきます。
(4)5回の「なぜ」で洗い出す
中枝にまとめたグループごとに、さらに小さな原因と思われるものを小枝で加えていきます。そしてさらに、その小枝に小枝の小枝を付け加えていきます。このとき、次のように、「5回のなぜ(The five Why's:Repeat “Why” five times)」の手法を活用すると原因をもれなく把握できます。この方法は、5回の「なぜ」を自問自答することによって、物事の因果関係や、その裏に潜む本当の原因を突き止めていく手法で、品質不良の真因の追求などに多用されます。
このように、「回転ムラはなぜ発生するのか?」を突き詰めていくと、理想的な特性要因図を作成できます。「表1 “5回のなぜ”による工程不良の要因分析事例」および「図3」を参考にしてください。
なぜ | 問い/答え |
---|---|
1W | 工程不良はなぜ発生するのか? |
回転にムラ(バラツキ)があるからだ。そこで回転ムラを品質特性とした | |
2W | 回転ムラ(バラツキ)は、なぜ発生するのか? |
部品にバラツキがあるからだ。そこで部品を中枝とした | |
3W | 部品のバラツキは、なぜ発生するのか? |
G軸受けにバラツキがあるからだ。そこでG軸受けを小枝とした | |
4W | G軸受けのバラツキは、なぜ発生するのか? |
G軸受けの寸法にバラツキがあるからだ。そこで、寸法を小枝の小枝にした | |
5W | G軸受け寸法のバラツキは、なぜ発生するのか? |
2.6mmの寸法の箇所にバラツキがあるからだ。そこで、2.6mmの寸法を小枝の小枝にした | |
表1 “5回のなぜ”による工程不良の要因分析事例(Wは“Why”の略) |
(5)網羅性の確認
バラツキの原因と思われるもの全てが、作成した特性要因図の中に網羅されているかどうかの確認を行います。そして、それらの原因と結果の関係がうまく結び付けられていれば、特性要因図は完成です。最後に、特性に対して影響の大きい要因を丸で囲うなどの印を付けていきます。
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