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内陸型メガソーラーは何が難しいのか、山梨県の実例から分かることスマートグリッド(2/2 ページ)

メガソーラーは広い土地を必要とする。それでは内陸部や丘陵地帯にはメガソーラーは設置できないのだろうか。そうではない。東京電力が山梨県に建設した「米倉山太陽光発電所」から分かること、それは設計手法の工夫でメガソーラーの適地を増やせるということだ。

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超電導技術との組み合わせ図る

 米倉山太陽光発電所は、東京電力と山梨県の共同事業だ。山梨県は太陽光以外にも再生可能エネルギーへの布石を打っている。例えば、2011年6月には、鉄道総合技術研究所と「超電導等を用いた電力貯蔵技術の研究の推進に関する協定」を結んだ。

 再生可能エネルギーは自然条件によって大きく発電量が増減する。そのため、電力貯蔵装置を使って平準化を試みる動きが進んでいる。例えば鉛蓄電池やリチウムイオン2次電池である。しかし、電池だけでは大容量化が難しいという意見もある。

 国は2013年度から新しい電力貯蔵技術に関する実証試験を始める予定だ。そこで実証試験の県内誘致のためにも、鉄道総合技術研究所との協力が必要だと判断した。

 山梨県と鉄道総合技術研究所が候補として上げた装置は、超電導フライホイール(図4)だ。超電導を利用して重量物(回転体)を真空中で浮上させた後、外部から電力エネルギーを与えて回転数を増やしていく。


図4 超電導フライホイール 上部にある銀色の筒がモーター(発電機)として機能する。モーターと回転体の間は真空で絶縁されていおり、電磁クラッチで接続する。シアン色で描かれているのが真空容器。回転体は超電導電気軸受けで支えられている。出典:山梨県

 「鉄道でブレーキをかけるとモーターが発電機として働く。近くの区間に別の電車があれば回生エネルギーをそのまま受け渡せるが、そうでない場合は、熱に変わって無駄になる。鉄道の回生エネルギーをフライホイールを使って回収したいというのが、そもそもの研究の動機だ」(鉄道総合技術研究所)。

 貯蔵できるエネルギー量の目標は、通勤電車8両編成(3M5T)の回生対策に必要な10kWh(36MJ)である*2)。「現在は、3.3kWhまで貯蔵できるフライホイールを開発済みだ」(鉄道総合技術研究所)。

*2) 2011年11月25日に開催された鉄道総合技術研究所の電力技術交流会での配布資料「電力貯蔵装置(超電導フライホイール)(PDF)


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