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GTDシミュレーターのヒットとプロデューサーの直感力マイクロモノづくり 町工場の最終製品開発(18)(1/2 ページ)

レースゲーム用の座席(ハンコン固定シート)を開発したメーカーが話す製品開発の秘訣。単に好きな物やよい物を作るだけでは、売れない。

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 マイクロモノづくりを成立させるためには、設備を持って製造する企業と、商品アイデアを持つ方とのコラボレーションが必須です。今回は、自社製品開発を始めて10数年、さまざまな企画を考え、実現させて、そして売り上げてきた、イイダ 取締役の飯田達也氏にお話をうかがいました。

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左からenmono三木康司、イイダ 取締役の飯田達也氏、enmono 宇都宮茂(筆者)

社員発案による新製品開発

 イイダは、飯田氏の父上である現社長 飯田邦雄氏が創業した企業(創業当時は、飯田コーティング工業)です。メッキラック、ステンレスかごの製造からスタートし、パイプ加工、板金加工と品目を増やしていきました。1993年には、自社製品開発(カー用品・アウトドアグッズ)を開始。以来、マフラーを始めとするさまざまなカー用品を開発し、「ロッソモデロ(ROSSO MODELLO)」という独自のブランドも立ち上げて販売してきました。

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ロッソモデロのマフラー

 飯田氏は、社員にユニークな発想を奨励し、そのアイデアを基に自社製品開発をしています。


イイダが自動車のマフラーパーツで作ったロボット

 イイダの「GTDシミュレーター」もその1つ。


GTDシミュレーター

オートサロンに出展したGTDシミュレーターと来場者

 こちらは「グランツーリスモ」などのレースゲーム用のハンドルコントローラーとペダルが取り付けられるようになっている座席(ハンコン固定シート)です。シートは、自動車グッズを作ってきたノウハウを生かしており、実車さながらのリアルさ。リクライニングやスライドも可能で、プレーヤーが好むポジションに調整できます。

 GTDシミュレーターの開発は、あるゲーム好きの社員が、「自社の技術があれば製作できるし、あったら自分も欲しい」と、飯田氏に提案したことから開発が始まったと言うことです。同社は、パイプベンダーや溶接機などを備えています。あまりコストを掛けずに試作品を製作できる環境があることは幸いでした。

 GTDシミュレーターの試作品を作り、毎年ロッソモデロシリーズを展示しているオートサロンに出してみたところ、何と、長蛇の列ができてしまったとか。


オートサロンでの出展の様子

 その反響を見て、正式に商品化を決め、さらにブラッシュアップしました。再度別の展示会に出展した後、すぐに予約注文を取ったところ、あっという間に売り切れてしまったということでした。

 マイクロモノづくりは、このようにコストを掛けずに試作品を製作し、展示会などでお客さんの反応をうかがいながら、好機と感じたらすぐに製品化して投入することが可能なのが利点です。

 単に“よい物”を作るだけでは、ビジネスにはならないのです。

 飯田氏は、創業者である父上の背中からモノづくりのビジネスを見て育ち、若いころから商品のアイデアを考え続ける習慣がありました。それにより、ビジネスの好機を的確に捉える直感が磨かれたのです。

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