EVタクシー普及のカギは何か、日産など5社が関西で取り組む:電気自動車(2/2 ページ)
タクシーをガソリン車から電気自動車(EV)に切り替えると、燃料代を約10分の1にまで低減できる。EVの普及に伴って、EVタクシーの導入事例が増えているものの、EVならではの課題がなかなか解決できない。日産自動車など5社は大阪府や京都府、京都市と協力して、実証実験を開始する。
EVタクシーには専用システムが必要
実証実験開始に当たり、EVタクシー用のシステム「EVOTシステム」(EV On-demand Taxiシステム)を開発した(図2)。ユーザー用ソフトウェア「EVOT Call」とEVタクシー車載端末、サーバ側のタクシー配車システムの3つの部分からなる。それぞれが連携することで、EVの弱点をカバーする。
ユーザー用ソフトEVOT Callは、スマートフォンやタブレットからEVタクシーを呼び出すために使う(図3)。ユーザーに近い最適なタクシー配車を実現する他、システム側が充電予約管理に役立てる。
EVタクシー車載端末は無駄な走行や充電待ち時間を減らし、電池残量を効率的に管理するために使う。例えば、目的地に到着した時点のEVの航続可能距離を予測計算し、充電が必要なら急速充電器を予約して、ドライバーに案内する。
この機能を支えるのが、タクシー配車システムだ。ユーザー用ソフトとEVタクシー車載端末の間を取り持つ他、乗客情報やタクシー動態、車両情報、充電器情報を管理する。別に構築した充電器管理システムと連携して動作する。タクシー配車システム内の情報を使って、データマイニングも行う。空車走行や充電待ち時間を削減し、EVタクシーの営業機会損失を最小限に抑える手法を探る。
開発に当たった5社の担当範囲は次の通りだ。
兼松は、EVOT Callの開発の他、実証実験に利用する急速充電器のネットワーク化を担当した。実証関係の整備と自治体連携も担う*5)。
*5) 同社は今回の実証実験以前にEV用充電インフラ事業の立ち上げに取り組むプロジェクトチーム「VOLTA」を立ち上げている。モーションと共同で充電器の課金・認証システムの他、携帯端末を使った充電器位置情報配信や充電器予約制御の実証実験を各地で進めている。
システムオリジンは、車載器に組み込むソフトウェアの開発と車載器からセンターにデータを送信するソフトウェアを開発した。タクシー動態情報を管理して、タクシーが乗客から呼び出しを受けるための車載端末用アプリケーションを開発・運用する。同社は国内約970社のタクシー会社向けシステムの構築経験があるという。
日産自動車は、配車ソフトウェアの開発の他、電池情報のやりとり部分を担当した。モーションはプロジェクト全体の取りまとめと、EVOTシステムの最適化を担当した。リサイクルワンはコンサルティング企業であり、今回は兼松と共同で実証環境の整備に取り組んだ。
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