新築住宅のうち、太陽電池を導入する割合は?:スマートグリッド(2/2 ページ)
太陽光発電システム(太陽電池)はもはや身近な「商品」となった。家電量販店での取り扱い開始や、テレビCMでの宣伝など、品物について見聞きする機会も増えている。しかし、太陽電池を屋根に載せている住宅はまだあまり多くないようだ。実際にはどの程度、導入に勢いがあるのだろうか。複数の調査結果から実態を探った。
太陽電池はいまだ2番目に高額な買い物
住宅金融支援機構の調査対象品目はたんすから屋外物置まで58項目あり、環境対応の品目は太陽熱温水器と太陽光発電システム*3)である。
*3) 太陽熱温水器の購入世帯比率は総合で2.0%、一戸建て(新築)で3.2%だった。
58項目を購入世帯当たりの平均購入額で並べると、乗用車(新車)の241万8200円と、太陽光発電システムの177万3100円が1位と2位を占めた(図3)。
低価格化は進んでいるのか
住宅金融支援機構の調査は2010年11月から2011年4月というある「1点」の結果だ。太陽光発電システムの価格動向がどうなっているのか、この調査結果だけでは分からない。
そこで、2009年8月に新エネルギー導入促進協議会が発表した「住宅用太陽光発電システム導入状況に関する調査」と比較してみよう。
同協議会の調査から分かることは、1世帯当たりの購入量が年度によってあまり変化しないことだ。住宅用の平均設備容量は2008年度で3.53kW*4)。1994年度から2008年度の購入量は、3.42〜3.8kWの範囲に収まり、増加傾向や減少傾向を示していない。
*4) 住宅用太陽光発電システムの設置に対して、独自に支援事業を実施している309自治体のうち、74自治体から提供された2991件のデータから同協議会が算出した値。調査資料はWebページからダウンロード(PDF)できる。
同協議会によれば、2008年度の平均システム価格は66.9万円/kW(太陽電池42.5万円/kW、付属機器15.5万円/kW、設置工事8.9万円/kW)であった。従って、2008年度の1件当たりの平均費用は236万円と計算できる。
新エネルギー導入促進協議会と住宅金融支援機構では調査対象が異なることを考慮すると、236万円と177万3100円という2つの数値を正確に比較することは難しい。それでも2年間で低価格化が進んだことは分かる*5)。
*5) 新エネルギー導入促進協議会によれば2008年度の平均システム価格は新築が54.7万円/kW、既築が73.5万円/kWだ。低価格な新築だけで平均費用を計算しても193万となり、やはり低価格化が進んだという結論になる。なお、住宅金融支援機構の調査でも新築と既築の価格差がデータに現れている。平均購入額は177万3100円だったが、中古住宅だけを取り出すと201万2700円だった。
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