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スマホみたいなクルマは、まだまだ夢物語かなプロダクトデザイナーが見た東京モーターショー(2/4 ページ)

東京モーターショーで、プロダクトデザイナーが各社のコンセプトカーをウオッチ。「Fun-Vii」や「BMW i」を見て考えたこととは?

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“ドラえもん演出”のトヨタブースを歩き、BMWのことを考えたり

 クルマだけでなく企業としての行動も表現されているBMW iの世界観を見せられた後に、トヨタのFun-Viiを見たせいか、(見えてくる範囲、プレスリリースなどから読み取れる範囲からでは)迫力不足な感じがしてしまう。「コンセプトカーの目的が違う」と言ってしまえばその通りなのだけど……。既に、トヨタ・ブランドでの「G-Book」やレクサス・ブランドでの「G-Link」などのモビリティサービスを展開しているのだから、「クルマとサービスの連携された未来も、もっと訴求すればいいのに」と、筆者は“ドラえもん演出”のトヨタブースを歩きながら感じたのであった。

 トヨタ・ブースを歩きながらもう1つ気になったのが、Fun-Viiよりもう少し現実的な次世代車であるFCVのコンセプトカー「FCV-R」。くしくもBMW iと同じく2015年頃からの市場導入を目指しているFCVのコンセプトモデルという位置付け。それ位の未来では、まだコスト高と思われるFCVをトヨタ・ブランドから出すという点で、個人的には少々意外であった。今後の市場導入への展開のさせ方を、クルマとビジネスの両面でBMWとともに注目していきたい。

FCV-R
FCV-R

レクサスはどうよ?

 トヨタにはレクサスブランドのビジネスもある。ハイエンド・高価格の技術を採用したクルマはレクサスブランドで市場投入しつつ、エンドユーザーとの対話による学習とビジネスを両立させる、といったことをしてもいいのではないかとも感じたところである。

 では、隣のレクサスブースにはどんな未来があるのかと思いながらレクサスブースへ足を運んだのだが、展示されていたのは「未来」ではなく、さながら新型GS発表会といった様相の「今」だった。残念。ただ、MONOist読者的には、ブースの端の方に置かれているLFAのカットモデル(というか、外板を取り払ったもの)を、じっくり眺めてこられた方も多かったのではないだろうか。この“丸裸LFA”が展示されている横では、手作り生産されるLFAの、各生産工程をミニチュアのジオラマで紹介するという展示も面白い。


LFAカットボディ写真

LFA工場ジオラマ 写真

 せっかくの国際モーターショーなのだから、日本勢の代表企業としても、レクサスとトヨタの2つのブランドを使ってどのような未来を描くのかという展示がもっとあっても良かったような気がするのは、私だけだろうか。エモーショナルな訴求もいいけれど、その理屈も見たいかな、と。

おっと、86?

 書き忘れるところだったが、クルマ好きとしては、ハチロクのようなクルマをこの時代に作るという意志決定を、トヨタが決心してくれたのはうれしい限りではある。カッコはトヨタのハチロクがいいとか、兄弟車であるスバルのBRZの方がいいとか、好き嫌いも出そうだが、今回掲げた『FUN TO DRIVE, AGAIN.』のスローガンとは合っている。

 まあ、「ハチロクというレトロな名称をいまさら持ってこなくても……」とは思うけれど。AE86レビン/トレノの時代には、ユーザー側は86と呼んでいたが、トヨタの店頭ではレビンやトレノの名称で営業マンは売っていたと記憶している。


トヨタ 86

兄弟車のスバル BRZ

ブランド・アイコン・テクノロジー

 「レトロ」と言えば、モーターショーの会場には「MINI」「フォルクスワーゲン ビートル」「シトロエン DS」といった、いわゆるレトロ・デザインとかレトロな名称のクルマがほかにも出ている(後はポルシェ911なんてのも同じカテゴリーに入れてもいいかも?)。

フォルクスワーゲン

 フォルクスワーゲンは4月にモデルチェンジされたビートルを、「ザ・ビートル」日本仕様として持ち込んできた。キャッチフレーズは「The 21st Century Beetle」。フルモデルチェンジで新しくするのに、元をめぐれば70年くらい前のクルマの印象を盛り込まなきゃならないところに、レトロ路線を選んでしまったデザインの難しさがある。本来、レトロ路線は「一度限りの選択肢」だとは思うが、安全規制が変わるとか、使えるプラットフォームが変わるとか、販売サイドからの要望とか、さまざまな要因・事情からモデルチェンジ対応しなければならなくなることもあるのが現実だろう。

 今回のビートルは「ニュー・ビートル」から「ザ・ビートル」ということで、名称でさえどちらが新しいのか判別できない状況になってしまっているが、クルマの方は「新しくなった」と「ビートルらしいカタチ」をうまく盛り込めていると感じる。いまの段階では、プロポーションが変わったことで、どことなく「ビートルのようでビートルじゃあないなぁ……」という印象も受けるけれど、これは時間が経てば見慣れるレベルであろう。興味があるのはこの「ザ・ビートル」の次の一手だ。このデザイン路線の延長でいくのか、それとも新しいデザインを提示してくるのか。現代のビートルを支えているのは、昔ながらのビートルらしいイメージの継承にこだわるファン顧客か、それとも少し毛色の変わったフォルクスワーゲン車が欲しい人なのか、これをどう読むかで変わってくる。きっとフォルクスワーゲンの社内でも、じっとウォツチしている人がいるに違いない。


ザ・ビートル(The Beetle)

ザ・ビートル:「初代ビートル」(手前)と「ザ・ビートル」

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