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僕が理想とする設計会社を作ってみた【企業訪問】伊那の若手設計集団 スワニー(2/3 ページ)

10年間メーカーを渡り歩いてつかんだ、自分なりの“モノづくり道”で、実家の事業を生まれ変わらせる!

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掘っ立て小屋だけど、中はすごいぞ

 橋爪氏いわく「掘っ立て小屋」の中を案内してもらった。スワニ―の事務所の作りの1つ1つが、橋爪氏のこだわり満載だ。随所で、メーカーの技術者時代に考えた理想の職場の形を具現化しようと試みている。

 先代から引き継いだという事務所のリフォームは、橋爪氏自身が行ったという。

造形コーナー兼打ち合わせ室

 まずは、事務所の玄関から入ってすぐの一室。スワニ―の仕事を象徴する場所でもある。

造形コーナー兼打ち合わせ室
造形コーナー兼打ち合わせ室

 さまざまな最新造形機が所せましと並び、中央に打ち合わせテーブルが置かれている。造形の様子や実際の物を見ながら、顧客と打ち合わせすることが可能だ。

広―い設計室

 設計室は、スタッフの席が壁沿いに配置され、中央が広く開けている。スタッフたちは壁に向かって座る形だ。

設計室
設計室

 橋爪氏がメーカーで仕事をしていたときは、居室の席は大抵、それぞれパーテーションで区切られていた。作業に集中はできるものの、円滑なコミュニケーションを図るには少々のストレスとなる。スワニ―の設計室では、スタッフ同士のコミュニケーションを活発にしたいと考え、パーテーションは採用しなかった。スタッフたちが後ろや横を向けば、いつでもお互いに会話ができる環境にしている。

 橋爪氏の席は、部屋の最奥。そこにした理由は、スタッフの様子が一目瞭然だからだという。作業で困っているスタッフが察しやすく、すぐにフォローできるという狙いだ。

 DR(設計審査)を実施するのは、中央の広間の部分。ここには机もイスもない。そこに直に座り、スタッフで輪になって「ああでもない」「こうでもない」とワイワイしながら話し合う。ちなみに、社外の客が訪れた場合もここに通され、打ち合わせをすることもあるそうだ。

3次元CAD
3次元CADでのレイアウト検討:伊那の冬は寒い。ストーブは必須だ

FA設計室兼新人研修室

FA設計室兼新人研修室
FA設計室兼新人研修室

 ここでは、主に産業機械系の設計製図をしている。採用したばかりのスタッフは、CADの操作や業務を覚えるついでに、その製図を手伝うようになっている。

モノづくりバー

モノづくりバー
わいわいモノづくりバー

 なんと、スタッフが歓談を楽しむバ―(ダーツとカラオケ付き)まで。そこで酒を飲みながら、社内外の人たちが親睦を深めたり、モノづくり論を交わしたりすることを目的としている。

粉体塗装室

粉体塗装室
昔ながらの粉体塗装室

 最後は、先代からやっている静電粉体塗装の作業をする昔ながらの作業室。作業は、いまは代表取締役をしりぞいた橋爪氏の父親が担当している。造形室や設計室とは雰囲気が全く違う。

 スワニ―自体は、創業が昭和45年と古い企業だ。先述のように、橋爪氏は3代目。先々代、先代は、粉体塗装(モータのコア部の塗装など)がメインだった。しかし、ここ数年は受注が激減していることから、そこからは近々撤退する予定だという。

 「先代の頃、従業員は多いときで60人ぐらいいましたが、だんだん減ってきて、とうとう家族だけになりました。僕はそんな先代たちを見ていて、このまま“こういう製造業”をやっていては、今後、モノづくりの世界では生き残れないじゃないのかな、と思っていました。何か特殊なことができればいいけれど、“機械さえあればできること”だけでは、生き残れない。生き残れるのは、設計やデザインではないかと」(橋爪氏)。

 以降は、長年の粉体塗装業で培った生産ノウハウを生かした新しい展開を検討中ということだ。

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