ビクトリア女王が好んだワイト島、英国最大の島が100%再生エネ化へ:スマートグリッド(2/2 ページ)
再生可能エネルギーの利用ではドイツやスペインなどが注目を集める。英国はモデル地域を指定し、一気に再生可能エネルギーの100%利用を目指す。舞台は英国最大の島ワイト島だ。東芝やIBMが技術を提供する。
エネルギー自給率100%以上を目指す
EcoIslandプロジェクトの目標は、ワイト島を「再生可能エネルギーの島」に変えることだ。再生可能エネルギーを利用する各種の発電所を建設し、スマートグリッドを使って管理する。2020年までにエネルギーを100%自給したうえ、さらに自給率を高めて英国本土にも送電するという壮大な計画だ。
利用する再生可能エネルギーの種類は幅広い。太陽光や風力の他、潮力、地熱、バイオマスなどを用いる。これにより、ワイト島ではエネルギーコストが現在の約50%に削減できる見込みだ。
計画の第1段階はこうだ。2500万ポンドを費やして、3500の建物に太陽光発電システムを備え付け、大気熱を利用したヒートポンプを500カ所に設置する。第2段階では電気自動車(EV)や電動バイク、燃料電池車(FCV)、再生可能エネルギーを使った公共交通機関を広げていく。この他、さまざまな取り組みを経て、2020年の目標に到達する。
IBMや東芝がスマートグリッドなどで協力
EcoIsland Partnership Community Interest Company(CIC)は、2011年11月15日にEcoIslandプロジェクトのパートナー企業を公開した。EcoIslandのパートナー企業は、3種類に分かれる。5社のグローバルパートナー企業、3社の英国の国内パートナー企業、10社のファウンディングパートナー企業だ。
グローバルパートナー企業の役割は、発電やスマートグリッドなどのインフラの中核部分を計画、設計することだ。
米IBMと東芝はそれぞれ、発電やスマートグリッドそのものを担当する。東芝によれば、「2011年11月11日にEcoIsland Partnershipと契約を締結した。100%再生可能エネルギー化など、プロジェクトの最終目的は決まっており、今後、スケジュールや企業ごとの分担などを詰めていく。当社としては、発電や送変電、エネルギーマネジメント、スマートグリッドのトータルシステムやソリューション、機器などの得意分野で協力したい」という。
英Cable & Wireless Worldwideと、米Silver Spring Networksは、家庭内に設置した機器と再生可能技術を無線メッシュネットワークや既存の通信インフラを使って結び付ける*1)。
*1) この他、化粧品会社である英Liz Earleがグローバルパートナー企業として参画している。同社は環境対応製品に取り組んでいる。
英国内パートナー企業の役割は、既存の系統電力との接続や、特定の再生可能エネルギー技術の提供だ。
英SSE(Scotish and Southern Energy)は、英国第2の規模を誇る発電とガス供給企業。再生可能エネルギーの供給シェアが英国内で最も高い企業だ。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度への対応が英国内で最も進んだ企業としても知られている。
ITM Powerは、電気分解を利用して水素を製造する装置を販売する企業。燃料電池車用の水素製造供給装置などを開発している。
英Southern Waterは、英国南部海岸に面した諸州を網羅する上下水道会社だ。
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