ブレーカーが落ちる心配なし、トヨタのプリウスPHV用充電機器:電気自動車 東京モーターショー2011
トヨタ自動車は、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」の発売に合わせて、充電用の補助機器を販売する。家庭内の消費電力を監視して充電するかどうかを判断する「H2V Manager」が目玉。スマートフォンからの管理設定も可能だ。
トヨタ自動車は2011年11月14日、家庭でプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)を充電するための機器「H2V Manager」(Home to Vehicle Manager)を開発した(図1)。
トヨタの顧客向けIT事業会社であるトヨタメディアサービスとの共同開発である。2012年1月からトヨタホームが販売する。プリウスPHVの販売と時期を合わせた形だ。
図1 H2V Managerは2つの機器からなる 通信機能付きピークカットコントローラーである「H2V Controller」(右)と専用ルータである「H2V Gateway」(左)を、家庭の分電盤とPHV用の充電コンセントの間に設置する。出典:トヨタ自動車
充電器だけでは何が不足するのか
家庭の分電盤に接続した充電器があればPHVやEVの充電は可能だ。なぜ、H2V Managerのような機器が必要なのだろうか。
安全に充電でき、充電効率を高めることができるからだ。
例えば、家庭内でエアコンやドライヤーなど消費電力の大きい多くの電気製品を同時に使っているときに充電を開始すると、ブレーカーが落ちてしまう可能性がある。H2V Managerは消費電流を監視し、家庭内の消費電力量が大きい場合は自動的にPHVの充電を一時中断し、消費電力が減った時点で充電を再開する。このときメールを使った通知も可能だ。
ブレーカーを気にしないで済むだけでなく、このような仕組みを採ったことで、ユーザーが家庭の契約電力(アンペア数)を変更することなく、PHVを充電できる。
この他、家庭内のPCやテレビ、スマートフォンとH2V Manager(H2V Gateway)を接続することで、PHVやEVの充電開始時間を設定、変更できる(図2)。家庭内の総電力消費量を確認できる他、スマートフォンを使ったときは、「トヨタスマートセンター」を通じて、外出先からも設定、変更が可能。さらに過去の電力消費実績を参照することもできる(関連記事:100%自然エネルギーは可能なのか、六ヶ所村の実験)。
図2 H2V Managerのシステム図 情報の流れ(青線)と電力の流れ(赤線)を示した。H2V Managerは分電盤と充電コンセントの間に入る。そして、さまざまな情報機器(黄緑色)や、トヨタスマートセンターと通信を行う。出典:トヨタ自動車
H2V Managerは、専用ルータである「H2V Gateway」と通信機能付きピークカットコントローラーである「H2V Controller」からなる。価格は5万2290円。H2V Managerに接続する充電機器として、充電コンセントの他、壁掛け型充電器、ポール型充電器の販売を予定しているという。H2V Managerと充電コンセントを組み合わせた場合の価格は15万7500円*1)。
*1) 壁掛け型充電器とのセット価格は21万5250円、ポール型充電器とのセット価格は27万8250円。3つの組み合わせとも、価格は税込み、工事費別。
なお、トヨタ自動車は、「東京モーターショー2011」(2011年12月2〜11日、東京ビッグサイトで開催)で「スマートモビリティシティ2011」内のトヨタブースを使って、「H2V Manager」の実機を展示する。
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