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原子力から再生可能エネルギーに軸足移す、エネルギー白書2011スマートグリッド

エネルギー白書2011は、原子力から再生可能エネルギーという流れを明記した。この他、今後起こりうる大規模な震災にどのように対応するか、今後の国際的な化石燃料高騰への対応が必要なことも示した。

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 資源エネルギー庁は、2011年10月28日、「平成22年度エネルギーに関する年次報告」を公開したと発表した。いわゆる「エネルギー白書」である。

 エネルギー白書2011では、3点の課題を強調した。今後の日本のエネルギー政策と東日本大震災の影響、国際エネルギー市場の状況である。

原子力への依存度を減らし、省エネと再生エネへ

 今後のエネルギー政策は力点が原子力から再生可能エネルギーに移る。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、原子力の安全性について国民の信頼が大きく損なわれたことと、日本のエネルギーシステムが脆弱(ぜいじゃく)性を抱えていることを明記した。これまでのエネルギー白書では、原子力の意義を強調し、基幹電源と位置付け、推進していたが、今回は聖域なく見直し、エネルギー基本計画をゼロベースで見直すと明記した。

 今後は、原子力発電への依存度を中長期的に可能な限り引き下げる方向性を目指す他、省エネルギーを徹底的に推進することと、再生可能エネルギーの開発・普及の強力な推進が重要だとした(図1)。

 このような論調は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2011年5月に発表した報告書「Special Report on Renewable Energy Sources and Climate Change Mitigation(SRREN)」と軌を一にするものだ。同報告書では2050年時点の全エネルギーの77%を太陽光や風力で供給可能だと指摘している(関連記事)。


図1 各国の再生可能エネルギーへの対応状況 一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を示した。現状では欧州よりも中国(11.9%)の方が高い(関連記事)。日本は3.2%だ。出典:資源エネルギー庁

 なお、政府は2011年7月29日に「当面のエネルギー需給安定策」を取りまとめている。今後3年間の対策として、原子力発電所の広範な停止による約1割のピーク電力不足のリスクと、約2割の電力コスト上昇のリスクを最小化するための政策だ。需要構造を改革し、電力供給が可能な主体を増やし、電力システムを改革することが政策の内容だ。

東日本大震災では電力以外のエネルギーも損なわれた

 エネルギー白書2011は、東日本大震災がエネルギーに対してどのような影響を与えたのか、電力に向きがちな視点以外の課題を捉えている。

 例えば、国内では初めて仙台のLNG(液化天然ガス)受入基地が機能を停止したことや、都市ガスが8県16事業者で供給が停止したことを指摘した。石油やLPG(液化石油ガス)の被災も著しく、供給力が低下したことも挙げている。

 大都市間を結ぶ都市ガスネットワークを強化すること、緊急時の石油・LPGの供給機能の強化が必要だと指摘した。

国際エネルギー市場は高コスト化進む

 原子力発電所が次々と停止するなか、電力各社は化石燃料への依存度を高めている。この状況はエネルギー政策上好ましくないとした。化石燃料の国際的な高コスト化が避けられないからだ。

 高コスト化の理由として、中国やインドを中心にエネルギー需要が高まっていることの他、資源獲得競争が激化していること、安価に開発できる資源が減っていることを挙げた。

 米国を中心としたシェールガス(頁岩層から得られる天然ガス)の開発により天然ガスの需給が緩和したものの、日本は取引上、原油と価格がリンクしているため、高コスト体質から逃れられなかったと指摘した。このため、2011年7月に鉱業法を改正。日本近海に埋蔵されているメタンハイドレード(化石燃料であるメタンを含んだ固体)などの資源開発を容易にした。


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