あなたは生産品質を管理できていますか? 5M管理の心構え:実践! IE:現場視点の品質管理(6)(2/3 ページ)
5Mを管理するってどういうこと? QCDの個々要素でも、全体を通しても、“良いモノづくり”を実現するにはどうしたらいいのでしょうか? 本稿で生産品質を管理するための基本を学びましょう。
日常の管理の仕方
例えば、日常の現場管理における管理のポイントは、「日常の管理の仕方」に示す内容をPDCAに沿って順次に実行していくことです。下に示すPDCAの各ステップでの具体的な実施内容をご覧ください。
ステップ
具体的な実施内容
実施詳細
計画(Plan)作業の標準を作って示す
1. 目的を決める。例えば、製品の品質(許容公差など)、納期(生産計画)、原価などを決めて数値で示す
2. 目的を達成する方法を決める
- 作業のやり方や作業条件を決める
- 原料や材料の品質を決める
- 点検方法や測定のやり方を決める
- 管理特性(管理項目)を決める
実行(Do)標準通りの作業を行う
1. 作業の標準に従って教育・訓練を行う
- 作るものを理解させる
- 作業の重要なポイントを教える
2. 作業を実施させる
- 標準通りの作業を確実に実行させる(手順、時間)
- 仕事を丁寧にやらせる
- 仕事の結果を必ず見直すクセを付けさせる
- 図面や作業指導書をよく確認させる
- 材料や部品は間違いないかチェックする
3. 定められた方法で点検や測定を行う
- 測定器具に狂いはないかチェックする
- 点検や測定後の処置方法を教える
評価(Check)作業状況や結果を調べる
1. 基準通りの作業が行われているかどうか調べる
2. いろいろな測定値が規格や基準を満足しているか調べる
3. 管理特性の値が基準に合致しているかを調べる
改善(Action)調べた結果に基づき処置する
1. 異常の有無を判定する
2. 作業標準から外れていれば基準通りになるように処置
3. 異常なことがあれば、原因を調べて、これを除くと共に再び同じ異常の起こらないように処置する
- 不良対策は、すぐに実施する
- 再発防止のための標準化(作業指導書の制定・改訂の実施など)、機械化、治具化などの歯止めを行う
「管理(PDCA)のサイクル」を継続的に回していくためには、以下の項目を組織的に行わなければなりません。
- 管理特性について測定値を得ること
- 異常の有無を判定すること
- 異常の場合に原因の探求をすること
- 原因の除去を行うこと
しかし、管理のサイクルの数は、必要最小限に留めておく必要があります。つまり、管理サイクルをあまりに多くし過ぎると、管理サイクルを回すために必要な人(例えば点検者とか、間接員)が多くなり過ぎてしまうことがあります。また、管理サイクルを回す人が、測定者や連絡方法を勝手に決めたのでは組織的に管理された状態とはなりません。従って、管理サイクルを回す際に、工場内で統合して次のようなことを決めておかなければなりません。
- どのような管理のサークルを回すことが効果的であるかを検討する
- 管理特性の測定値を、どこの部署でどのようにして得るかを決める
- 得られたデータを、どのように整理してどこの部署に連絡するかを決める
- 連絡された部署が起すアクションの内容を決める
これらのルールは、どの企業でも多少なりとも決められているものですが、機能しているかどうかも含めて見直し、あらためて整備し直す(管理体制の整備)ことにより、現在は管理された状況ではなくても、近い将来、高い水準の管理された状態が構築できます。
また、「図2 改善と管理の関係」に示す、「日常の管理」と「作業の改善」は、車の両輪のようなものですが、図に示すように、日常の管理で設定された品質水準を維持することで問題点が見つかり、それに対して何らかの改善を行うサイクルを繰り返し実行することで品質水準が向上します。新たな品質水準を日常の管理で維持していくようにするサイクルがまさしく「管理サイクル」なわけです。
作業のチェックの仕方
日常の管理においては、「チェック」を行うことが非常に大切なのはいうでもありません。例えば、教育のやりっぱなし、仕事のやりっぱなしで、シッカリとしたチェックを行わなければ、標準通りの作業が行われていなくても気付かず、確実に行っているような錯覚を起してしまうことだってあるわけです。
標準通りの作業が行われているかどうかを確認(チェック)する方法には、仕事を行っているときにチェックする方法と仕事を行った結果から判断するという2つの方法があります。
前者の方法は、職場巡回中にサンプリングで行うことはできても、常に行うことは管理的にみて不可能であり現実的ではありません。従って、後者の方法と併用することが大切で、後者の方法による場合は、作業の結果が良かったか悪かったかが容易に判断できるような「物差し(これを“管理特性”という)」を設定しなければなりません。
もちろん、管理特性は、作業や工程に1つだけとは限らず、あらかじめ設定された幾つかの特性の全てが目標値を達成していなければなりません。管理特性は、標準通りの作業が行われたかどうかの判断を行うための特性ですから、次のような性質を持っていなければなりません。
- 標準通りの作業が行われたときは良い値が現れ、標準通りの作業が行われなかったときは悪い値が現れること
- データを取るのに時間的な遅れが少ないこと
- データの取り方がハッキリしていること
- アクションに結び付く管理特性と判定方法であること
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