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雪国でも太陽電池、新潟県で年間100万kWhを達成できた理由とはスマートグリッド(2/2 ページ)

雪国の年間日照時間は必ずしも短くない。低温は太陽光発電に有利である。降雪対策さえうまくいけば、大規模な発電が成功する可能性がある。昭和シェル石油が新潟県に設置した発電所が予想以上に発電できた理由を探った。

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なぜ発電量を多くできたのか

 新潟市は日本海に面した雪国であり、冬季の降水量が多く、日照時間が短い。1月には30cm程度の積雪がある。しかし、4月から10月の期間では例えば東京よりも日照時間が長く、年間日照時間は1643時間(東京1881時間)に達する。年平均気温は13.9度であり、冬季の気象条件に対応できれば太陽光発電には不利ではないといえる。

 昭和シェル石油の分析によれば、発電量を多くできた理由は大きく分けて2つある。まず、CIS(銅インジウムセレン)薄膜太陽電池*2)を用いたことだ。

*2)昭和シェル石油の100%子会社であるソーラーフロンティアが製造した。

 CIS薄膜太陽電池は温度依存性が低く、これまでの実績からも年間の実発電量がSi太陽電池よりも8%多くなるという。さらに、屋外設置後に、光を当て続けると変換効率が上昇する光照射効果も期待できた。

 もう1つの理由は、設置手法にある。発電量が多くなるような工夫を当初から盛り込んだ。まず、積雪の影響を考慮し、最適な太陽電池パネル傾斜角を検証するために傾斜角20度のパネルと30度のパネルを1:3に比率で組み合わせて設置した(図4)。近年で最も降雪が多かった2009年の積雪量が85cmであったため、地上約1mの位置に太陽電池パネルを設置している。さらに太陽電池パネルの端面を保護する部材を斜めにカットして、滑雪しやすくした。

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図4 太陽電池パネルの様子 30度に傾けて敷設した太陽電池パネルの様子。パネル上には積雪が見られない。

 1年間運用した結果、降雪時には30度のパネルの方が雪が滑落しやすいことが分かった。晴天時の発電効率には大きな差がなかったという。1mという設置高は、滑落した雪の高さを勘案しても妥当だったという。


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