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雪国でも太陽電池、新潟県で年間100万kWhを達成できた理由とはスマートグリッド(1/2 ページ)

雪国の年間日照時間は必ずしも短くない。低温は太陽光発電に有利である。降雪対策さえうまくいけば、大規模な発電が成功する可能性がある。昭和シェル石油が新潟県に設置した発電所が予想以上に発電できた理由を探った。

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 太陽光発電に有利な条件は複数ある。まず、晴天が多く、年間日照時間が長いことが必要だ。国内で年間日照時間が長いのは太平洋ベルト地帯よりも南、山梨県や高知県、宮崎県であり2000時間を超えている。一方、青森県や秋田県は1500時間以下だ。

 気温も重要である。結晶Si(シリコン)太陽電池は、温度依存性が高く、表面温度が10℃上昇するごとに、出力が4〜5%が減少する。夏季の太陽電池の表面温度は60〜80℃まで上昇することがある。このため、低緯度地域よりも高緯度地域に向く。

 雪国はどうだろうか。降雪時には曇天となり、太陽電池パネルの表面に積雪してしまうと、日照が回復しても発電できない。不利な条件であるように思える。

年間100万kWh以上を発電

 ところが、昭和シェル石油が新潟県の協力を得て、新潟市に設置した出力1000kWの大規模太陽光発電施設「新潟雪国型メガソーラー」(図1)が、予想外の発電実績を残した。

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図1 新潟雪国型メガソーラーの外観 敷地面積は約3万5000m2。CIS薄膜太陽電池パネルを1万2528枚敷設し、64基のアレイ構成とした。2010年8月、製油所跡地に総事業費10億円で建設した。出典:昭和シェル石油(以下同じ)。

 同発電施設の年間目標出力は100万kWh。2010年8月31日の運転開始から、1年間で達成する予定だったが、約40日前倒しとなる7月25日に目標に達した。計画では2010年9月から2011年7月の期間で交流発電量85万kWh(日照時間予測1428時間)としていたが、実際には計画よりも20%多い103万kWh(1474時間)を発電できた(図2)。

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図2 月間発電計画と実績値の比較 2011年1月を除き、計画量に比べて発電量が大きく上回った。太陽電池の故障は報告されていない。

 新潟雪国型メガソーラーの実力は、太陽電池パネル1kW当たりの年間発電量からも明らかだ。

 新エネルギー財団が公表した統計資料*1)によれば、太陽電池の出力1kW当たりの年間平均発電量は、990.02kWh/年(全国平均)である。一方、新潟県は863.46kWh/年であり、全国平均よりも約13%低い。しかし、新潟雪国型メガソラーでは年間発電量が110万kWhに達する見込みであり、全国平均を上回る見通しだという(図3)。

*1)「都道府県別kW当たりの年間発生電力量と年間売電電力量(10年間)」(1995年4月〜2005年3月)。新潟県は47都道府県中45位だった。

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図3 雪国型太陽光発電所の発電実績 太陽電池1kW当たりの発電量を示す。縦軸はkWh。2010年9月から2011年7月の11カ月間の月間発電量(緑線)と雪国型の月平均発電量(緑点線)、全国平均の月平均発電量(赤点線)、新潟県の月平均発電量(灰点線)を示した。縦軸はkWh。出典:昭和シェル石油

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