PTCのダイレクトモデリングのツール、2手に分かれる:Creo 1.0の日本向け説明会より
Creoでは、ダイレクトモデリングのツールが2手に分かれた。旧CoCreateユーザー、まったく新しいユーザー、両方のニーズに配慮された。
PTCジャパンは2011年7月6日、日本向け記者発表会を開催し、2011年6月12〜15日に米国で行われた「PlanetPTC Live 2011」で発表した「Creo 1.0」の概要を日本向けにレビューした(米国イベントおよびCreo 1.0に関する記事は記事末の関連記事に)。
Creoという名前になっても、旧「Pro/ENGINEER」などのユーザーは従来のバージョンアップ扱いとなり、ライセンスをそのまま引き継げる。データ管理関連における過去バージョンの互換性も順次対応していくとのことだ。
デザインスケッチツールの「Creo Sketch」は、2011年7月リリース予定とのこと。こちらは、鉛筆やブラシなどの手書き風の線描画や着色が可能で、Creo内のCADで線画データを流用できる。「機械設計のポンチ絵にも活用できる」(PTCジャパン 営業技術部 プリンシパル アプリケーション スペシャリスト 芸林盾氏)。概念設計ツール「Creo Layout」は2011年晩秋リリース予定。
今後のCreoのアップグレード予定は、主に以下としている。
- 2012年: Creo 2.0 (2012年3月)、Creo Elements/Direct 18.1
- 2013年: Creo 3.0 (2013年3月)、Creo Elements/Direct 19.0
ダイレクトモデリングツール
Creoでは、ダイレクトモデリングツールが2つに分かれた。2010年10月28日にCreoを初発表した当時、ダイレクトとパラメトリック、2つのモデリング手法の行き来が自在に可能としていたが、2011年6月14日に米PTCが発表した「Creo Direct」の一機能が該当する。「CoCreate」の後継は、Creo 1.0の製品群とは別で「Creo Elements/Direct 18.0」と呼び、Creo Directとは別のツールだ。名前が似ているので注意したい。そうなったのは、旧CoCreateユーザー、新規ユーザーのニーズの違いを配慮したことによる。
前者のCreo Directは、CoCreateを流用して作られたソフトウェアではなく、PTC独自で開発したダイレクトモデリングツールだという。独自といっても、CoCreateの技術は一部で利用しているとのこと。前述のように、パラメトリックCADの「Creo Parametric」と連携したモデリング「AnyMode Modeling」が可能だ。AnyMode Modelingは、Creo 1.0時点では、アセンブリ機能などでまだ不足があり、今後のアップグレードで補強していくという。
後者のCreo Elements/Directは、CoCreateが基になったソフトウェアで、設計の最初から最後までダイレクトモデリングしか使用しないユーザー、従来のCoCreateユーザーをターゲットとする。Creo Parametricとの間でモデリング手法の行き来はできない。そうはいっても、Creoファミリー製品各種との互換性は保たれており、CreoファミリーのCADの追加、移行もストレスなく行えるとしている。
ローエンドマーケットが好調
「Creoは、ユーザーから大きな興味を持っているという声もよく聞き、ビジネスはグローバルで好調。今後は少し明るい兆し」とPTCジャパン 社長の桑原宏昭氏はコメントした。
2011年第3四半期のPTCジャパン(国内)は、前年度比でCADのライセンス数が大きく伸び、中小企業のマーケットが好調だったと発表(※正式な発表はこれから)。
旧CoCreateなどダイレクトモデリング製品の成長は、前年比で96%アップだという。設計以外のさまざまなシーンで3次元CADを使いたいという要求が増えていることによるとPTCジャパン デスクトップ営業本部長の宮川公延氏は説明した。今後の同社では、何らかの無償ソフトウェアの提供も考えているという。
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