リチウムイオン電池の量産車採用が本格化:人とくるまのテクノロジー展 2011(2/3 ページ)
『人とくるまのテクノロジー展 2011』が、2011年5月18日から20日までパシフィコ横浜で開催された。東北地方太平洋沖地震の影響により、来場者数は昨年より減少したものの、電気自動車やハイブリッド車関連を中心に、注目すべき新技術の展示が行われた。
電池監視技術に要注目
次に、ティア1サプライヤの展示を紹介する。デンソーとカルソニックカンセイは、Liイオン電池パックを構成する各電池セルの電圧を監視/制御するのに用いる電池管理用ECU(電子制御ユニット)を展示した。
デンソーが展示したのは、プリウスαの3列シート車に採用されたものである(写真8)。電圧監視ICとしては、トヨタ自動車のPHEV「プリウス プラグインハイブリッド」向けと同じものを用いている。
カルソニックカンセイは、日産自動車のEV「リーフ」に採用された電池管理用ECUを公開した(写真9)。 1個のECUで、96個の電池セルの監視/制御を行える。同ECUの基板には、12個の電圧監視用ICが搭載されている。このことから、1個のICで8個の電池セルの電圧を監視していると見られる。カルソニックカンセイによれば、「このICは、日産自動車、カルソニックカンセイ、開発パートナーの半導体メーカーの3社で共同開発した専用品だ」という。
ボッシュは、EVやHEV向けにドイツRobert Bosch社が開発している次世代インバータを紹介した(写真10)。このインバータは「Gen 2.3」と名付けられている。すでに量産車に採用されている「Gen 2.0」と比べて、定格電流は約17%増の350Aとなり、容積は半減の約5lとなっている。また、Robert Bosch社と韓国Samsung SDI社が合弁で設立した車載リチウム(Li)イオン電池メーカーであるSB LiMotive社のLiイオン電池パックも披露した(写真11)。
アイシン精機は、バックガイド機能を組み込んだ車載カメラモジュールを紹介した(写真12)。同モジュールが内蔵するマイコン上で描画ソフトウエアを実行することにより、バックガイド機能を実現している。シフトやステアリングの操作信号を伝送するのに用いるCAN(Controller Area Network)インターフェースも搭載した。同社は、「設置面積が1インチ(2.54cm)角のカメラモジュールに、描画用ECUの機能を一体化するとともに、コスト低減も果たせた」としている。
豊田自動織機は、プリウスαに採用された樹脂製パノラマルーフを展示した(写真13)。ポリカーボネート樹脂を用いており、ガラス製のものと比べて約40%の軽量化を実現している。また、自動車の外装向けの樹脂製部品で問題となる耐光性については、独自開発したコーティング剤を表面に塗布することによって対応している。
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