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Gbps時代を迎える車載情報系ネットワーク(6/7 ページ)

現在、欧州の市場を中心に、従来よりも高速なネットワーク技術を用いる車載情報機器の開発が進められている。数年前までMbpsのレベルであったネットワーク通信速度は、現在では1Gbpsを優に超えるようになってきている。本稿では、まず車載情報機器のネットワーク技術にGbpsクラスの通信速度が必要になっている背景を説明する。その上で、高速の通信速度に対応する車載通信用ICの動向についてまとめる。(本誌編集部 取材班)

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Ethernet AVBがベース

 上述した以外にも、SERDES技術に関しては、多くの企業がその市場への参入を目指している。それに対し、車載情報系ネットワーク向けのイーサーネット対応製品は、ドイツBMW社を中核とした開発プロジェクトに合わせて開発が進められている。

 BMW社は、2013年に発売する量産車に、イーサーネットを用いたサラウンドビューモニターを採用する方針である。このサラウンドビューモニターには、家庭内などで映像データや音楽データを伝送するために策定されているEthernet AVB(Audio/Video Bridging)をベースにした車載用の仕様(以下、車載用Ethernet AVB)が用いられている。

 車載用Ethernet AVBは、通常のイーサーネットが4本の信号線を用いるのに対して、1対のツイストペアケーブルだけで信号を伝送できることを特徴とする。また、時間同期やストリーミングなどEthernet AVBの機能の一部が取り入れられている。最大伝送速度は1Gbps、最大伝送距離は30mとなっている。

 車載用Ethernet AVBを用いたサラウンドビューモニター用ICの開発に協力しているのが、米Freescale Semiconductor社と米Broadcom社である。Freescale社は、ネットワークコントローラ搭載マイコンを、Broadcom社はドライバICとスイッチングICを開発している。また、撮像素子としては、米OmniVision Technologies社が開発した120万画素のCMOSセンサーが用いられるもようだ。

 このサラウンドビューモニターは以下のような構成になっている。まず、車載カメラモジュールには、OmniVision社のCMOSセンサーとFreescale社のマイコン、Broadcom社のドライバICが組み込まれている。そして、Broadcom社のスイッチングICを介して、複数の車載カメラモジュールから送られる映像データを車載情報機器のメインプロセッサに送信する。なお、車載カメラモジュールは、CMOSセンサーが取り込む映像データを、マイコンが内蔵しているMotion JPEGのエンコーダによって圧縮してからスイッチングICに出力する。映像データを圧縮しているので、車載カメラモジュールとスイッチングICの間は、最大伝送速度100Mbpsのファストイーサーネットに準拠した仕様で接続可能である。ファストイーサーネットを用いることにより、ドライバICのコストを低減できるとともにノイズ対策も容易になる。なお、スイッチングICとメインプロセッサの間は、車載用Ethernet AVBの最大伝送速度である1Gbpsで接続される。

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