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太陽光発電市場がアジアや米国にシフト、欧州の電力買い取り価格引き下げによるスマートグリッド(2/2 ページ)

太陽電池の価格は、生産規模が2倍になるごとに約2割下がることが分かっている。このため各国政府は、太陽光発電の発電コストが家庭用電力並みの発電コストに下がるまで、電力の固定価格買い取り制度などをテコに、普及を後押ししている。市場規模が大きいドイツとスペインは太陽光発電市場の過熱を抑えるため、買い取り価格を引き下げた。この影響が他地域の市場拡大につながる。

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低価格化進むが、流通マージンは維持

 一方、2010年から2011年初頭にかけて、欧州では太陽光発電システムの販売利益が、予測に反して横ばいを維持できた。ただし、太陽光発電プロジェクトを展開しても、もはや利益は上がらないため、ビジネスモデルを修正し、販売チャネルの拡大に再び注力する必要に迫られている。欧州では2011年上半期に太陽光発電システムの価格が急激に下がった。これによって、イタリアでは需要が刺激された。

 ドイツは2011年の中頃に予定していた電力買い取り価格の引き下げを取りやめ、2011年下半期の需要回復を狙う。

 2010年第1四半期時点で、欧州に拠点を構える中国企業の太陽電池モジュールの製品価格は、欧州や日本の競合企業と比べて25%も低かった。欧州メーカーなどの値下げによって2011年2月には価格差が10%に縮まったが、2011年第2四半期の終わりにかけて再び差が広がる見込みだ。

2010年の中国の需要は倍増

 中国では、太陽光発電システムの国内需要が2010年に倍増した。内陸部の寧夏回族自治区と東シナ海に面する江蘇省*2)が主要な市場である。この2地域は以前から需要が多かった。国内需要の49%が公共施設である。

*2)編注:寧夏回族自治区はSi(シリコン)資源が多く、気象条件が太陽電池設置に向く。2009年には中国国内ではじめて10MW以上の太陽光発電所が設置されたのも同自治区だ。世界最大の太陽電池モジュールメーカーであるSuntech Powerは、江蘇省無錫市に本社を置く。

 2010年には中国がアジア太平洋地域で2番目に大きな太陽光発電市場となったものの、日本は太陽光発電市場で、以前の勢いを取り戻している。国内市場の伸びにより年成長率は111%に達しており、地域シェアも高い。アジア太平洋地域の82%を占める。このような傾向は福島第一原子力発電所で大事故が起こる前から続いていた。2011年の市場規模は1.3GW〜1.5GWだと見込まれている。

米国の市場成長に食い込む中国企業

 米国では公共施設での需要が右肩上がりで伸びており、市場の構造や流通チャネルはもちろん、どのような製品を扱うか、などさまざまな変化が訪れている。

 米国における中国企業の市場シェアは2010年時点で37%に達している。Suntech PowerやTrina Solar、Yinglii Green Energyなどの企業が健闘した結果だ。この傾向は2011年第1四半期にも続く。2011年の米国市場は約2GWまで拡大する見込みだ。2015年にはこれが6.4GWに達する。

【翻訳:滝本麻貴、編集:@IT MONOist】

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