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タイ版「灯籠流し」を制したのは?――NHK大学ロボコン2011大学生がロボット作りの技術を競う(3/3 ページ)

大学生がロボット作りの技術やアイデアを競う「NHK大学ロボコン2011」が開催された。制限時間内に素早く“ロイ・クラトンの火”をともしたのはどこの大学のロボットか?

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新潟県勢が健闘、ベスト4に2校が進出

 今大会には、前述のように21校が出場しているが、これらのチームは事前の審査によって、50大学59チームの中から選ばれた。出場するまでに、既に3倍近い激戦だったのだ。このうち、特に完成度が高いと判断された7チームはシードとして、予選リーグでの対戦がないように各グループに振り分けられている。

 予選Aグループは、シードの東京大学が2試合ともロイ・クラトン達成で文句なしの決勝リーグ進出。予選Bグループは、シードの長崎総合科学大学が振るわず、直接対決を制した新潟大学が全勝で決勝リーグへ。

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ロイ・クラトンを達成した東京大学チームの自動ロボット

 予選Cグループは、シードの九州大学に、昨年優勝の金沢工業大学が絡む激戦区。しかし、初戦こそクラトンを完成させた金沢工業大学だったが、九州大学との直接対決ではポール1での大失敗が響いてまさかの10点どまり。2試合ともクラトンを完成させた九州大学が安定感で勝り、決勝リーグ進出を決めた。

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両校とも3つ同時に運べるタイプだったが、九州大学(赤・手前側)がわずかに早くポール1の中央を確保、これが明暗を分けた

 3チームとも1勝1敗という混戦だったのが予選Dグループ。初戦こそ手動ロボの不調で1点も取れずに敗れた三重大学だったが、2試合目は本領を発揮してシードの長岡技術科学大学に勝利。合計点でリーグ1位は長岡技科大になったが、三重大学はクラトンまで完成させた162点という高得点が生きてワイルドカードとして決勝リーグ進出を果たす。

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速度的に有利な車輪を採用する大学が多い中、北見工業大学の手動ロボは多脚を採用

 比較的スコアが低迷していたのが予選E/Fグループ。Eグループの最高点は50点しかなかったが、2勝した大阪工業大学がチーム発足2年目で決勝リーグ進出を果たす。NHK大学ロボコン常連校の工学院大学は、大阪工業大学との直接対決は同点だったものの、審判の判定で敗れて涙をのんだ。Fグループは東京工業大学が30点、70点というスコアだったものの、2勝して決勝リーグに進出。シードの電気通信大学は自動ロボの不調を最後まで修正できなかった。

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NHK大学ロボコン常連校・工学院大学は審判判定で決勝リーグ進出ならず

 予選Gグループはシードの豊橋技術科学大学が順当に2勝。過去3年の成績が優勝/優勝/準優勝という強豪の豊橋技術科学大学だが、初戦で東京大学以外では唯一となるロイ・クラトンを達成。2試合目も残り1分でクラトンを完成させたが、ロイ・クラトンはあえて狙わず、得点を稼ぎに行って162点という高スコアを出した。

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豊橋技術科学大学がロイ・クラトンを達成した瞬間。2つのレーザーセンサーが動いている

 予選リーグの試合を見終わった感想としては、東京大学がダントツ。豊橋技術科学大学が続き、この2校が頭抜けている印象だったが、決勝リーグの準々決勝では長岡技術科学大学がこの豊橋技術科学大学を破るという番狂わせ。豊橋技術科学大学が常に先行して、クラトンも川に落として炎を置こうと狙っているところに、後から来た長岡技術科学大学がクラトンを川に投下。反動で豊橋技術科学大学はクラトンにロボットが接触してしまい痛恨の反則。そのすきに長岡技術科学大学が炎を乗せて大逆転となった。今大会で最もエキサイティングな試合だった。

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豊橋技術科学大学(青・奥側)のロボットは、既にセンサーによる計測を始めていた。そこに長岡技術科学大学(赤・手前側)のロボットがクラトンを持ってきて……

 初めてベスト8を突破した長岡技術科学大学はそのまま準決勝も九州大学に212点という高スコアで勝利して、見事準優勝を果たした。この試合でも先にクラトンを完成させたのは九州大学だったのだが、長岡技術科学大学はクラトンを2個作ることに成功して、2試合連続の逆転勝ち。長岡技術科学大学は試合を経るごとに強くなる成長ぶりが光った。

 また、予選リーグでの最高得点が70点という新潟大学だったが、準々決勝の東京工業大学戦では初めてクラトンを完成させ、ロイ・クラトンまであと一歩という勝利。東京工業大学の予選リーグでの最高得点も同じく70点だったが、こちらの得点は38点となり明暗を分けた。これでベスト4に新潟県勢が2校という状況になったが、新潟大学は準決勝で東京大学に完敗、さすがに新潟県勢同士による決勝戦までは実現しなかった。

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新潟大学は準々決勝で初めてクラトンを完成させ、スコアを162点まで伸ばした

6年ぶりの世界一となるか?

 ABUロボコンは2011年8月28日に、タイ・バンコクのインパクトアリーナにて開催される。東京大学チームは「今日の大会で優勝はしたが、1つ1つの動きを見れば僕たちよりも優れているロボットがたくさんあった。そこから吸収できるものは吸収して、レベルアップした姿でABUロボコンを戦っていきたい」と意気込む。

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まさに圧勝だった東京大学。彼らは8月に日本代表として、世界大会に挑む

 ここのところ世界大会で強いのは中国だ。2007年以来、国としては4連覇中で、今年は5連覇がかかっている。ちなみに日本で唯一、世界大会を制したことがあるのは東京大学。2005年の北京大会で優勝しており、今年はそれ以来の世界挑戦となる。6年ぶりの世界一となるか、期待したいところだ。

 なお、今回のNHK大学ロボコンの模様は、2011年7月18日(月・祝)にNHK総合テレビにて放送される予定。

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筆者紹介

大塚 実(おおつか みのる)

PC・ロボット・宇宙開発などを得意分野とするテクニカルライター。電力会社系システムエンジニアの後、編集者を経てフリーに。最近の主な仕事は「小惑星探査機「はやぶさ」の超技術」(講談社ブルーバックス)、「宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業Vol.1」「宇宙をつかう くらしが変わる 日本の宇宙産業Vol.2」(日経BPマーケティング)など。宇宙作家クラブに所属。

Twitterアカウントは@ots_min


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