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タイ版「灯籠流し」を制したのは?――NHK大学ロボコン2011大学生がロボット作りの技術を競う(1/3 ページ)

大学生がロボット作りの技術やアイデアを競う「NHK大学ロボコン2011」が開催された。制限時間内に素早く“ロイ・クラトンの火”をともしたのはどこの大学のロボットか?

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 全国から集まった21校の大学チームにより争われたロボット競技会「NHK大学ロボコン2011」(主催:NHK、NHKエンタープライズ)が6月12日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)にて開催された。

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全国から21大学の学生チームが集まり、激戦が繰り広げられた

人間とロボットによる協調

 NHK大学ロボコンは2002年の初開催以来、今年で10回目。世界大会である「ABU(アジア太平洋放送連合)アジア・太平洋ロボットコンテスト」の代表選考会と位置付けられており、世界大会に準じたルールで試合が行われる。

 このルールについては後述するが、勝負は2チームによる対戦形式で進められる。与えられた課題を制限時間(3分間)内にクリアしたチームが勝利となるが、時間切れの場合は獲得した点数によって勝敗が決まる。今年の大会には21チームが出場。7つの予選リーグに分けられて、1位の7チームは自動的に決勝トーナメント出場が決定、残りの1枠は予選2位チームの中から最高点のチームがワイルドカードとして選ばれる。

 各チームのロボットは最大3台まで。このうち1台は操縦者が付く手動ロボットだが、残りの2台は自律制御による自動ロボットだ。人間が指示を出すことは許されていないので、センサーを搭載して状況を自分で判断、行動する必要がある。各ロボットとも、課題に失敗した場合には「リトライ」を宣言して、課題をやり直すことができる。

 一般的にロボットの競技会というのは、自律だったら全て自律で、あるいは手動なら手動で、どちらか一方をルールにする場合が多い。ロボットサッカーのロボカップや迷路を走るマイクロマウスは自律ロボットによる大会だし、バトル系のかわさきロボットやROBO-ONEなどは基本的に手動である(ROBO-ONEは自律ロボットで出場しても構わない)。NHK大学ロボコンのように、自律ロボットと手動ロボットが協力して課題をクリアしていく、というスタイルはかなり独特だ。

 これが何を意味するかというと、操縦する人間の技術と、精神力までもが競技の結果に影響してくるということだ。自律ロボットであれば、相手のプレッシャーによって焦ってミスをするようなことはない。ロボットの設計とプログラムが良ければ勝つことができる。しかし、人間同士であれば、駆け引きによって相手を動揺させることもできる。強いチームがそれによってあっさりと負けてしまうことだってあるだろう。いうなれば、ロボコンにスポーツの要素を加えたようなものだ。

 特に序盤における手動ロボットのミスは勝敗にかなり強く影響する。最初の課題をクリアするまでは、自動ロボットはスタートできないことになっているからだ。しかも、フィールドは基本的に各チームで別々になっており、直接勝負をする場面はほとんどないが、最初の課題は同じ設置台を利用するために、ここでの戦略が相手に大きく干渉する。もし相手チームが強豪でベストタイムが上でも、ここで先制さえすれば勝てる可能性が大きくなる。こういった点が単純なタイムレースでない面白さだ。

複雑になったルール

 今年の競技は「ロイ・クラトンの火をともせ!」というタイトル。この“ロイ・クラトン”というのは今年のABUロボコン開催国であるタイの伝統行事で、日本の「灯籠流し」をイメージすると分かりやすいだろうか。各チームが目指すのは、このクラトン(灯籠)を完成させて、それを川(に見立てたエリア)に浮かべ、火をともす(実際は炎に見立てたパーツを上から落とす)ことだ。

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図1 フィールドの平面図。2チームが赤チーム(左側)と青チーム(右側)に分かれて課題に挑む。各ロボットのスタート位置は決められている

 クラトンを構成するパーツは、ロウソク台、飾り、花、線香(3本)、炎の5種類。フィールド上に散らばって配置されたこれらのパーツを所定の順番で移動していって、最終的にクラトンを作り上げる。このクラトンをフィールド中央の「川」に落とし、ロウソク台の先に「炎」を乗せると課題のロイ・クラトンを達成したことになり、最高点の300点が与えられる。

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実際のフィールド。中央のステージが一段高くなっている
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線香が3本乗っている線香立て。これを移動するのが最初の仕事だ

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