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中小製造業の「現地化が難しい理由」は間違いだらけ変わりゆく中国の日系製造業(3)(1/3 ページ)

中小企業の海外進出・現地化が失敗する理由は資本力などではない。震災を契機に現地取引が増える一方で、現地化に悩む日系中小製造業は何を強みにしていくべき?

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現地取引が生む課題:日系製造業の中国工場が置かれている“現実”

 今回のシリーズを最初に決めた段階では震災もなく、当社製品も多くの日系製造業の中国工場で次々に採用されるなど順調そのものでした。

 震災は日本社会に大きなパラダイムシフトを起こし、日系製造業の中国工場にも少なからず影響を及ぼしています。特に最終製品を製造する工場では、日本からの主要パーツの手当てが付かず、一時帰休に追い込まれている工場もあります。

 その中で、当社システムを導入していただいている優秀な日本の中小企業の工場の中には、相変わらず元気な企業も見られます。これらの企業は部品産業ということもあり、材料のほとんどが現地調達でした。震災の影響で日系企業からの注文が減少する中で、前回紹介したように中国系のメーカーに部品提供するといったシフトが始まっています。

 一方で、中国の現地メーカーと取引を始めた企業は、日系製造業にはない商習慣(購買担当者や決定権者へ付け届け、回収困難な代金など)の問題に直面しているという側面もあります。大手製造業のようにしっかりとした法務部門もないため泣き寝入りするケースも散見されます。

 今後は、これら中小企業が集まって、中国企業への与信や法的対応の機能を備える必要があると感じます。

状況変化に即応できる革新的な生産システムで本社工場に「アドバイス」

 前回記事で紹介したIT投資に関して積極的に取り組んでいる企業では、現時点では、資材調達のシミュレーションにスケジューラ(Asprova)をフル活用しています。

  • 現在手持ちの資材で取引先のリクエストに対応できるのはいつまでか?
  • いつまでに代替のサプライヤを見つけなければならないか?
  • 製造される部品をどの取引先に戦略的に回したらよいのか?
  • 今後の継続的な取引や違約金などコスト面での問題点はないか?

 などといった難問を、スケジューラのマスター情報とトランザクション(移送や突き合わせ)情報を正確に把握し、システムの現地化を実現することで管理しています。

 “日本では中小企業”のこの企業の中国工場は、現状と未来のシミュレーションが既に実現しており、開発区の他工場から見学者が来るほどです。逆に同社の日本国内の工場に対して、スケジューラを使った計画停電対応の方法をサジェスションしたそうです。

 「転ばぬ先の杖(つえ)」とはよく言ったもので、順調な時のシステム投資であったからこそ、現在のような、災害に起因するイレギュラーな課題に対処できるのです。

 図らずも生産計画という企業の戦略的な機能だけでなく、「企業の保険」――未来シミュレーションや直近の変更・変動に即応できるツールとしてもスケジューラは役に立つことが証明されました。

 中国においても地震の発生は「対岸の火事」ではありません。より安い人件費を求めて日系製造業の工場は内陸に移動しつつありますが、2008年には四川省で大地震が発生しましたし、南部では治水上の問題から大規模水害のリスクも内包しているのです。

部品調達と製造計画の同期
部品調達と製造計画の同期
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