レンダリングでカッコいいイスに仕上げよう!:Macで楽しくて本格的な3Dモデリングしよう(2)(1/4 ページ)
今回はもう少し詳しくMorphogenesisの機能を探求しながら、レンダリングにも挑戦してみた。
Morphogenesisで思いがけない可能性に出会おう
前回は、3次元モデラー「solidThinking」の「Morphogenesis(モーフォジェネシス)」という機能について簡単に説明した。平たくいえば、解析ツールといえる。それも、“デザインする前に使う”解析ツールと考えていい。通常の構造解析とは使う順番が逆なのだ。もちろん、デザインをした後に使ってもいいのだろうが、前に使う方がこの機能の特徴が出るだろう。
前回の復習を簡単に示しつつ、もう少し詳しくMorphogenesisの機能を探求してみたいと思う。
Morphogenesisとは、骨の成長を数学的に研究してできたもの。前回のMorphogenesisを使った椅子(いす)も、その実行結果は、まるで骨のようになっていたのは、そのようなアルゴリズムを使っているからにほかならない。
「骨と工業製品」というと、何か面白い関係に思える。そもそも、骨と工業製品は、いろいろな意味で関係が深いのではなかろうか。人間をはじめとする動物の骨というのは、恐らく、自然が作りだした、――効率のよい骨格で重さを支えつつ、効率的に動くこともできる――最適化された存在だといえるからだ。
さらに、人々が何か新しいものを作り出すというときには、まるっきり自分の思い付きで何かを行うことはないといっていいだろう。自分が意識する、しないに関わらず、先行するさまざまなものを参照し、それらの情報を編集した上で新たなものを生み出す。そして、その最たるものが、自然に存在するさまざまなものだ。
きっとデザイナーの皆さんにとっても、動物、植物、鳥、昆虫、あるいはそれぞれの生物に存在する器官といったものが、インスピレーションの源泉であることも少なくないのではないだろうか。そして、その1つが、骨なのである。必要な構造を持ちつつ、ユニークな形状を発想する際に、Morphogenesisが生み出す「骨」を使うのは、ある意味とても理にかなったショートカットな気がする。
Morphogenesisが生きる使い方は?
で、肝心のMorphogenesisである。
基本的なMorphogenesisの使い方は、前回説明したのでここでは省くが、使う上で1つ大事なことがある。それは、ある程度のボリュームがあった方が、よりインスピレーションを刺激するような多彩なオプションを検討できるということだ。ボリュームというのは、絶対的な体積のことではない。
むしろ形状として、厚みがある形状の方がいいということだ。よく考えれば分かることだが、薄っぺらな形状では、縦や横の方向についてはさまざまな形状の変化があり得るが、厚さ方向にはそれほど多くのバリエーションが増えない。だから、特に椅子の背もたれのように最終的には薄い形状になる場合にも、まずはそれなりにボリュームのあるベース形状でMorphogenesisを使ってみるのがポイントであろう。
日頃から自分の頭で考えることは大事だが、せっかくソフトウェアのユニークな機能を使うのだから、ここはあえてMorphogenesisに任せてしまうのも手であろう。当然、何かをモデリングする前には、自分なりのイメージがあるかもしれない。それは、自分の思い込みにとらわれることにもつながることもある。ひとつここは手放して、自分の想像からは出てこないだろうものを引っ張り出すのが面白い使い方であろう。
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