金型屋さんがSNSで協力者を仕切って商品開発する:マイクロモノづくり〜町工場の最終製品開発〜(8)(3/3 ページ)
日本の金型屋さんが製品開発を開始。外部の人たちを巻き込み、かゆいところに手が届く製品を開発しようと奮闘する
緩やかな連携
「緩やかな連携による、プロジェクトベースのモノづくり」。松井氏は今、それを川崎市や、同市内の協力企業、歯科医院などと進めているとのことです。一見、モノづくりには関係のなさそうな歯医者さんですが、その仕事の中で「こんな道具が欲しかった!」と思い付いたアイデアを持ち込んでもらうことで、モノづくりに関わってもらい、その結果「かゆいところに手の届く製品」を生み出すことができているといいます。
「そうそう、これ欲しかったんだよね」という潜在ニーズに応える、孫の手のような商品は、ユーザーと生産者が直接対話することで生み出されます。まさに、これこそマイクロモノづくりです。
一緒に意見交換して、一緒に作り上げる。こういうことが楽しいのだと私は思います。
第三者の助けも借りたい
ここで、今回の松井氏の事業について、マイクロモノづくりのフレームワークに当てはめて整理してみましょう。
まず企画、資源確保、デザイン、マーケティング・ブランディング、販売を松井氏が担当しました。そして川崎市の担当者は、学生、知り合いの工場などをプロデュースしました。
そして今回は、市場の間近にいる学生が商品企画を行い、デザイナーが試作品を作り、モルテックが金型製作して製品も作りました。
販売に関しては学生たちが企画して、今現在もその営業に関わっています。
これら、企画、デザイン、マーケティング、ブランディングのリソースは、今までモルテックが情報発信した中で築き上げた人材ネットワークから得られています。ここも、IT活用の重要なポイントになります。また、それらがひとつながりとなったことで、マイクロモノづくりのプロセスを最後まで通すことが可能になったと私は考えています。
松井氏自身、「企画から販売までに関わることが好き」ということもあり、マイクロモノづくりがうまく回っています。
そしていままで築き上げたネットワークを駆使して、今後もさまざまな企画を推進していくとのこと。そして、そういった中で生み出される最終製品を自社の事業の柱の1つにしていきたいといいます。モルテックから、今後、どんな製品が登場するか、楽しみですね。
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次回も引き続き、興味深いマイクロモノづくりの事例を紹介していきます。
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⇒ | MONOist×enmono 合同企画記事 |
Profile
宇都宮 茂(うつのみや しげる)
1964年生まれ。enmono 技術担当取締役。自動車メーカーのスズキにて生産技術職を18年経験。試作メーカーの松井鉄工所にて生産技術課長職を2年務めた。製造業受発注取引ポータルサイト運営のNCネットワークにて生産技術兼調達担当部長として営業支援に従事。
2009年11月11日、enmono社を起業。現在は、製造業の新事業立上げ支援(モノづくりプロデューサー)を行っている。試作品製造先選定、部品調達支援、特許戦略立案、助成金申請支援、販路開拓支援、プレゼン資料作成支援、各種モノづくりコンサルティング(設備導入、生産性向上のためのIT化やシステム構築、生産財メーカーの営業支援、生産財の販売代理、現場改善、製造原価、広告代理、マーケティング、市場調査、生産技術領域全般)など多岐にわたる。
Twitterアカウント:@ucchan
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