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FPGAソリューションで新高速伝送規格の普及を後押し電子機器 イベントレポート(30)(1/2 ページ)

FPGA活用セミナー「TEDプログラマブル・ソリューション 2011」から、注目の新高速伝送規格「V-by-One HS」「USB 3.0」の技術セッションを紹介する。(編集部)

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 東京エレクトロン デバイス(以下、TED)が先ほど開催した「TEDプログラマブル・ソリューション 2011」。既にメインセッションの模様はお伝えしたが(2011年2月28日の記事を参照)、今回は注目された2つの技術セッションをレポートする。「V-by-One HS」と「USB 3.0」、FPGAの適用領域となり得る新・高速シリアル伝送規格に関するものだ。


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ザインエレクトロニクスの藤木礼氏

 画像伝送向け高速シリアルインタフェース規格「V-by-One HS」について、開発元であるザインエレクトロニクスの営業企画部 アプリケーション技術グループ 藤木礼氏が解説した。

 藤木氏は最初に、画像機器の代表としてテレビが抱える問題を指摘した。例えば、フルHD解像度/36ビットカラー/240Hz(4倍速)駆動/3Dのスペックを持つHDテレビでは、映像処理チップとパネル(タイミングコントローラ)の間の伝送データ量はSDテレビに比べて108倍になる。だが、現行主役の画像伝送規格「LVDS」では伝送速度を速めるのは難しいという。


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現行主流のLVDSではEMIの基準値に抵触する

 その理由を藤木氏は「LVDSにはEMI(電磁干渉)とスキュー(タイミングのズレ)の問題がある」と説明した。EMIの面では、伝送ハーネスがアンテナの役目を果たしてしまい、ピクセルクロックごと電界強度が跳ね上がり、家庭用機器のEMI基準に抵触。クロック・データ配線長差により起こるスキューの面では、100MHz以上のピクセルクロックで許容範囲を超えやすい。その結果、高速伝送を実現するには複数の伝送路を設けるか、パネル側に特別な仕掛けが必要となり、コストがかさむ。そこでV-by-One HSというわけだ。

CDR技術によりLVDSが抱える課題を全て解消

 藤木氏によれば、V-by-One HSは「PCI Expressなどで確立された高速シリアル伝送技術をテレビ向けに仕立てたもの」という。その特徴は、クロックとデータを送信時に多重化し、受信時に分離するクロック・データ再生(CDR)技術により、クロック線路が必要ないこと。1レーンのデータ線路でクロック周期当たり30〜50パケットを生成、規格上で最大3.75Gbpsの高速伝送を実現する。同7パケット、同655MbpsのLVDSに比べると、伝送速度は段違いである。さらに「クロック線路がないため、EMIやスキューの問題が解消され、伝送路コストも削減できる」のだ。

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V-by-One HSとLVDSでの伝送方式比較

 V-by-One HS伝送は次のような仕組みだ。外部制御を必要としない独立したトランスミッターとレシーバはそれぞれが4つの機能ブロックを持つ。トランスミッター側では、入力されたクロック・データに対して最初にカラーマッピング。次にEMIが増大するのを防ぐためスクランブル処理し、さらに8b/10b方式でエンコードしてデータにクロックを重畳。最後にシリアライズして送出する。それを受けるレシーバ側はトランスミッターと逆順、逆方向で処理を行い、CDR処理でクロック・データを元の状態に戻す。

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V-by-One HSのトランスミッター・レシーバ

 藤木氏は「減衰特性で劣化した信号でもレシーバは受信可能な上、送信する前に高周波成分を補強したり、受信した後にイコライゼーション補正するオプションもあり、長尺・低コストのハーネスが使いやすい」と指摘。さまざまな条件によりオシロスコープで実測した信号波形を見せ、V-by-One HSの優位点を強調した。

TED製評価ボードでV-by-One HSをサポート

 V-by-One HSは無償提供されており、「100社以上がライセンス契約を結び、10社が対応チップを開発済み」という。実際、藤木氏より対応製品として、ザインエレクトロニクス自身が開発・販売するLVDS to V-by-One HS、TTL/CMOS to V-by-One HSの変換用チップや、ザイリンクスとTEDが共同開発した評価ボード「コンシューマービデオキット 2.0」が紹介された。

 ビデオキット 2.0は、ザイリンクス製FPGA「Spartan-6 LX-150T」を搭載、8チャネル分のSerDes機能を持ち、画像伝送向けの各種インタフェースを開発・テストできる評価ボード。4種類のFPGAメザニンカードが標準で同梱され、その1つがV-by-One HS対応であり、カード上のFPGAにトランスミッター、レシーバを実装する。また、同製品プロフェッショナル版になるとV-by-One HSのIPコアも提供され、フルシステム評価が可能という。藤木氏は「V-by-One HSの開発環境は整いつつある。ぜひ試してほしい」とアピールした。

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USB 3.0 | FPGA | ザイリンクス | PCI Express


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