世界市場での製品競争力向上を目指す「Obbligato III」:ものづくり支援ソフトウェア製品レポート(8)(1/3 ページ)
コア・非コア機能をオンプレミス・クラウドで使い分けた運用を提案するObbligato III。グローバルPLM実現に向けた狙いとは
2009年のリーマン・ショックに端を発する世界不況で大打撃を受けた日本の製造業。その後しばらくの間、ほとんどの企業がコストカットと経営効率化で不況を乗り切ることに専念してきたが、いち早く経営の立て直しを終えた大手企業を中心に、早くも巻き返しの動きが始まっている。
現在、世界の製造業の目は、いわゆる「BRICS」と呼ばれる新興国の広大な市場に向けられている。この市場の覇権をめぐって欧米やアジアのメーカーがしのぎを削る中、日本メーカーもいつまでも守りの姿勢でいるわけにはいかない。グローバル市場で勝ち抜いていけるためのさまざまな施策が、急ピッチで進められている。
その中でも、特に注目を集めているのがPLM(製品ライフサイクル管理)だ。製品に関するあらゆる情報を一元管理し、製品のライフサイクル全般にわたって効率よく共有することによって製品開発期間の圧縮やコスト削減を実現しようという経営手法である。大手の組み立て製造業を中心にその導入が進んでいるが、これを支援するITソリューションを提供する中心的なベンダの1社がNECだ。
同社が提供する「Obbligato」は、国内PLMソフトウェア市場で長らくトップシェアを維持するPLMソリューションだ(テクノシステムリサーチ調査)。1991年に初代バージョンがリリースされて以降、着実に機能強化を重ね、1998年からはWebアプリケーション化した「Obbligato II」を提供している。
Obbligatoの特徴は、製品構成情報データベース、いわゆるBOM(Bill of Materials)を管理する機能にある。「NECが国内PLM市場でトップシェアを維持できているのは、BOMの強力なソリューションがあるからだ」と語るのは、NEC 第一製造業ソリューション事業部 CPCソリューショングループ 部長の松原 芳明氏だ。
「製品開発力を強化するには、企画から設計、生産技術、生産、保守と連なるエンジニアリングチェーンのプロセスを最適化することが重要。しかし多くの企業では、プロセスごとに個別最適化されたシステムをばらばらに構築してきた。その結果、エンジニアリングチェーンが分断された状態になっている。そこでわれわれのソリューションは、あらゆる製品開発情報を、BOMを中心としたPLMデータベースに集約することによって、分断されたチェーンをつなぐことに注力している」(松原氏)
Obbligatoのデータベースで管理できる情報は、BOMのほかにも図面データ、設計変更情報、さらにはプロジェクト管理情報など多岐にわたる。これらの情報をObbligatoに集約し、エンジニアリングチェーンに携わる社内外のあらゆるステークホルダー間で共有することによって、PLMソリューションを実現しようという狙いだ。
NECではすでにこうしたソリューションの実績を数多く積み上げているが、2011年3月からはObbligato IIの機能を大幅に強化した「Obbligato III」という新しいバージョンの製品を提供開始した。旧バージョンが持つ強みはそのまま継承しながらも、日本の製造業が今後必要とするであろうさまざまな機能を先取りして実装しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.