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組み込みでもAndroid解禁!? 模索から実用へET2010 Androidレポート(3/3 ページ)

組み込み業界でも存在感が増す「Android」。ET2010会場では、模索段階を脱却し、“実用”へ向けた本格的な取り組みを数多く見ることができた

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OESFブース以外でもAndroid関連の取り組みが目立つET2010

Android搭載2足歩行ロボットがお出迎え

 日本Androidの会ブースでは、アールティとブリリアントサービスが開発したAndroid搭載2足歩行ロボット「RIC android」が展示されていた。

 見た目は、柔らかい素材で囲われた着ぐるみ型ロボット(身長は約120cm)だが、頭部にAndroid端末(アットマークテクノ Armadillo-500 FX)が搭載されている。ユーザーがあらかじめ定義した動作データを基にロボットを制御。無線による操作も可能なほか、クラウド連携、音声再生やカメラ撮影(デモ機には非搭載)なども可能だという。「音声合成・音声認識を搭載している。携帯電話を通じて音声認識をして指令を送ったり、文字を送ることでしゃべらせたりすることもできる」(説明員)。

Android搭載2足歩行ロボット「RIC android」
画像20 Android搭載2足歩行ロボット「RIC android」

 RIC androidは、2010年9月の「Google Developer Day」で発表されたもので、さまざまなデータを収集し、クラウドに送る「情報収集ツールとして作られたもの」(説明員)だという。例えば、街頭に配置し、通行人の数やどんな情報を求められたかなどを収集・クラウドに送り、マーケティング情報として活用するなどの利用も考えられるとのこと。


Windows PCでAndroidアプリケーションを実行

 ET2010開催初日に発表された「BlueStacks for Windows」(開発元:BlueStack Systems)を展示した東京エレクトロン デバイス。BlueStacks for Windowsとは、OSをリブートすることなく、Windows OS上でAndroidとWindowsのアプリケーションを同時に動かせるソフトウェアだ。

Windows Embedded Standard 7搭載マシン
画像21 Windows Embedded Standard 7搭載マシン。デスクトップに配置されている「BlueStacks」のアイコンでAndroidアプリケーションを起動
Windows Embedded Standard 7マシンでAndroidアプリケーションを起動した様子
画像22 Windows Embedded Standard 7マシンでAndroidアプリケーションを起動した様子

 タッチパネルが搭載されたWindows PCであれば、Android搭載スマートフォンなどのように直接画面をタッチして操作できる。対応OSは、Windows 7/Windows Embedded Standard 7/Windows XP SP3となっている。詳しくは、電子機器フォーラムのニュース記事「Windows PCでAndroidアプリが動作『BlueStacks』」をご覧いただきたい。


AndroidのカーネルをLinux以外のOSに置き換える

 ITRONやその後継OSであるT-KernelをベースとしたリアルタイムOS、開発環境、ミドルウェアなどを開発・提供するイーソルは、AndroidのカーネルをLinuxからeT-Kernelに置き換えて、Androidにリアルタイム性と信頼性を付加するAndroidソリューション「eSOL for Android」の展示デモを行っていた。

 eSOL for Androidは、AndroidのカーネルをLinux以外のOSに置き換えるための適応化ソフトウェア「eSOL Adaptor for Android」と、Androidシステム開発向けテクニカルサービス「eSOL Professional Services for Android」で構成される。

eT-Kernel Adaptor for Androidアーキテクチャ
画像23 eT-Kernel Adaptor for Androidアーキテクチャ

 展示ブースでは、Androidの標準ライブラリ、ランタイム、アプリケーションフレームワーク、アプリケーションソフトウェアをeT-Kernel上で動作させるソフトウェア「eT-Kernel Adaptor for Android」を用い、eT-Kernel上でAndroidアプリケーションを実行させるデモを実演。同ソリューションを用いることで、リッチなUIやWebブラウザなど豊富なアプリケーション/ミドルウェアがそろったAndroidのメリットと、リアルタイム性能・信頼性の優れたeT-Kernelのメリットの両方を取り入れることができるという。

ROMに格納されたeT-Kernelと、SDカードに格納されたAndroidアプリケーションを連携させるデモ
画像24 ROMに格納されたeT-Kernelと、SDカードに格納されたAndroidアプリケーションを連携させるデモ

 また、「T-Kernelが得意とするリアルタイム性と信頼性を実現できるだけでなく、GNU GPLをはじめとするLinuxのライセンス上の制約を回避できる」と説明員。来年の第1四半期にリリース予定だという。

関連リンク:
イーソル
eSOL Adaptor for Android

ほかにも盛りだくさんなAndroid関連の展示デモ

 東芝情報システムは、「Android自動テストツール」を参考出展した。Excelファイルに記述されたテスト仕様書を読み込み、ターゲット機器で動作するテストアプリケーションを自動生成。生成されたテストアプリケーションをターゲット機器で起動することで自動的にテストが実行され、その結果をレポートやログで出力するというもの。「テストの自動化による工数削減・経費削減を狙っている。まずは自社内で使用しながらブラッシュアップしていく計画だ」と説明員。

Android自動テストツールのデモ
画像25 Android自動テストツールのデモ
関連リンク:
東芝情報システム

 NTTデータMSEは、「省資源型リファレンスソリューション」として、Androidを採用した軽量組み込みプラットフォームに関する展示を行っていた。Androidを軽量化し、厳選された機能のみを搭載することで、低コストで、デジタルサイネージプレーヤーや情報家電への組み込みなどを実現できるという。展示ブース内に設置されたディスプレイ(プレゼン資料を表示)には、省資源Androidプラットフォーム「Microid」が接続されており、スライド操作を実現していた。

省資源Androidプラットフォーム「Microid」
画像26 省資源Androidプラットフォーム「Microid」
関連リンク:
NTTデータMSE

 そのほか、ソフィアシステムズや横河ディジタルコンピュータなどはAndroidに対応した開発ボードを展示していた。また、NECのブースではAndroid搭載クラウドコミュニケーター「LifeTouch」の実機が展示されていた。

ソフィアシステムズ「Collage-MX51」のNFC対応開発キット
画像27 ソフィアシステムズ「Collage-MX51」のNFC対応開発キット。そのほかWiMAXモジュール搭載開発キットなども
HardKernel製ボード「ODROID-T」
画像28 横河ディジタルコンピュータが販売を開始するHardKernel製ボード「ODROID-T」
「LifeTouch」
画像29 NECのAndroid搭載クラウドコミュニケーター「LifeTouch」



 最後は少し駆け足になってしまったが、ご覧いただいたとおり、ET2010の会場では、紹介し切れないほど数多くのAndroidに関する展示デモが披露されていた。

 Androidへの取り組みをアピールする企業・団体が目立った昨年のET2009から1年、今回のET2010では“模索から実現へと大きく踏み出した”――そんな印象を受けた。特にデジタルTVやSTBなどの情報機器への適用事例や、Androidの弱点であるリアルタイム性を克服するようなソリューションなど、実用を視野に入れた(意識した)展示デモが昨年よりも多く見て取れた。

 今後、携帯電話/スマートフォンのみならず、さまざまな組み込み機器にもAndroid採用の波が本格的に広がっていくだろう。組み込み業界全体でのAndroid展開に依然として目が離せない状態だ。


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