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パッチン! スナップフィットで学ぶベテランの設計甚さんの設計サバイバル大特訓(6)(3/3 ページ)

樹脂材料のばね特性を生かした「スナップフィット」で、ねじを不要とする部品の締結法を学ぶ。これが“粋な設計”だぜぃ!

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 次に、設計思想を再考し、さらなる安全性優先のための「嵌(は)め殺し」と「スナップフィット」を組み合わせた「改良タイプの電車」を説明します。それは、以下の設計思想です。

  1. ボディとベース間の勘合は、スナップフィットではなく、「戻り返し」を設けた「嵌め殺し」を採用する
  2. ボディ端部に電池交換用の回転カバーを設置し、スナップフィットで開閉をロックする
甚

ここでは、『嵌め殺し』という専門用語を覚えろ! これは命令だ! 建築の連中も使う専門用語だ。


 次の図6は、電池を含まないボディとベースだけの結合方法を示します(筆者が設計しました)。まず、図中のA部について説明します。ボディ側に設けられた角穴は、矢印で示すZ方向から、ベース側に設けられた「戻り返し」に入り、「嵌め殺し」となります。

 この構成は、子どもには分解できない設計思想です。「粋」を感じてください。


図6 おもちゃの電車の改善例 その1(『ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロとなる!』日刊工業新聞社刊より)

 さらに、図7のB部は、電池を着脱する際の回転カバーです。スナップフィットを使用して子供でも容易に電池交換ができる設計思想を優先させ、電池専用の回転カバーを設けました。設計思想の「粋」を感じてください。


図7 おもちゃの電車の改善例 その2(『ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロとなる!』日刊工業新聞社より)

設計サバイバル・レシピ

「戻り返し」の「嵌め殺し」と、「スナップフィット」は、 役割を区別せよ!



良

甚さん、今回もすごく勉強になりました。特に、身近な『おもちゃの電車』がよかったです。すぐに買ってきます。


甚

そうか、あんがとよ。しかしよぉ、良君! オメェが昔ゆったあれだけどよ、『2007年問題で、早く辞めてほしい人は9割、残ってほしい人が1割』っていう、あれ。


良

ドッ、どうしたんですか? 真夏の夜のホッピーでも飲みに行きますか? たまには手羽先でグビッと……。デヘへ……エリカちゃんも。


甚

だんだん、その意味がよく分かってきたんよ。いつまでも会社にしがみついている9割はさっさとやめろーっ! 再雇用するなーっ! それより、先ほどのハンサムなお兄ちゃんのような年代に権限委譲せよーっ! そうだろ、良君!


良

甚さん、やっと分かってくれましたか?


甚

わが大日本帝国は大丈夫だ。彼らに任せろ! 大丈夫だぁ!


 若手に早々と権利を譲る、そして、譲った者はさっさと去る。若手から選ばれた者だけが彼らを支援する。いい話ですね……。

 確か、本田 宗一郎氏もおっしゃっていたような……。

 お願いです。せめてご自身に100円を投資してVTRテープを購入してください(次回へ続く)。

Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。



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