知財戦略の実態はどうなっているの? これからは中小企業も知財戦略の実践が必要:自社事業を強化する!知財マネジメントの基礎知識(3)(3/4 ページ)
知財戦略ってなに? お金になるの?? 知的財産戦略を実践して事業に貢献するために必要な機能・要素の定義から、本当に使える知識を身に付けよう
特許は20%、意匠は10%、商標は40%が未利用・未活用権利
それではお金を掛けて取得した知的財産権はどれくらい利用されているのでしょうか? 図4に大企業・中小企業合わせた日本企業の保有している特許権・意匠権・商標権の3つの利用状況を示します(商標権のデータには「未利用件数:防衛目的」がなかったため、「未利用件数:その他」にまとめました)。
特許権では約50%を利用していますが、残りの半分は未利用となっています。しかし、未利用件数の中でも約30%は防衛目的の未利用となっています。防衛目的とは、他社に特許出願・権利化されてしまい、自社事業の障害にならないように特許を保有しておくことを意味します。
この防衛目的の未利用特許も、消極的な意味での利用と見なせば特許取得件数の約80%は利用していると考えることができます。特許以外の意匠や商標でも取得した件数の半分以上は利用されています。しかし、特許では20%、意匠では10%、商標に至っては40%が真の意味での未利用・未活用権利となっています。
せっかくお金を掛けて権利を取得しているのにもかかわらず、これだけ使われていない知的財産権があるのです。本当に不要なのであれば、権利を放棄することで知的財産権を維持するための費用を削減して新たな研究開発活動へ充てるなど、より効果的に資金を振り分ける必要があります。
本項の最後に、なぜ中小企業は知財戦略の実践が難しいのか見ていきたいと思います。図5は中小企業を対象とした場合の知的財産戦略上の課題を示したものです。知的財産権を取得している企業にとっても、取得したことがない企業にとっても、重要な課題は「知識不足」と「人材・資金不足」の2点に集約されます。
知財戦略を支えるためには、戦略面から知財管理・知財実務面まで非常に多くの要素が必要になります。当然のことながら中小企業の方々にとって、自社ですべてをまかなうことは難しいと思います。そこで活用していただきたいのは、特許庁が実施している各種のサポート制度です。
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