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ビジネスモデルとしてのPLM運用戦略構築のためのライフサイクル管理論(4) (3/3 ページ)

自社の製品開発戦略をしっかり把握しているでしょうか? 製品開発・生産技術の効率化を追求していたとしても、しっかりとした戦略とマネジメント意識がなければ意味がありません。本連載では、マネジメント技術としてのライフサイクル管理を考えていきます。

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キャッシュフローへの意識

 PLMを使ってプロダクト・ライフサイクル・マネジメントのためのビジネスモデルを検討する場合、必ずキャッシュの流れも併せて検討する必要があります。

 SCMではキャッシュフロー経営も考慮した形でサプライチェーン・マネジメントのビジネスモデルを構築します。

 ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)では、営業や購買および生産といった各業務で発生するトランザクションデータを最終的にはバランスシート(B/S)や損益計算書(P/L)に落とし込んでお金の流れとしても活動を把握できるようにします。

ライフサイクルステージに合わせたキャッシュ管理(PLCC)

 同様にプロダクト・ライフサイクル・マネジメントの場合にも活動内容をキャッシュの流れとしてマネジメントできる仕組みが必要になります。それがプロダクト・ライフサイクル・コスティング(PLCC)です。

 PLCCとは製品の投入時期や品ぞろえおよび廃棄の時期を見極め、売れるタイミングで量産し、売れ行きが悪くなるタイミングで減産および撤退の判断をする製品戦略を実現するために、プロダクトのライフサイクルにわたって発生する収益とコストをマネジメントする手法です。

 PLCCを実現するには次の3つのことを実現することをお勧めします。

  1. ディスカウント・キャッシュフローを用いた将来のキャッシュフローに対してのリスクを考慮した投資計画の立案
  2. 誤差の少ない製品単位の損益実績の把握するための直接原価計算(ダイレクト・コスティング)の採用
  3. 多角的な製品ライフサイクルのポジションの分析を実現するポートフォリオ分析/SWOT分析

 PLMプロジェクトに取り組む際には、プロダクト・ライフサイクルを客観的に管理できるように、キャッシュの流れを見える化するPLCCの実現も併せて検討する必要があります。

真のライフサイクルマネジメントによる利益創出のために

 PLMという言葉にはPLMシステムというソフトウェアの側面からの説明が多くされてきましたが、PLMとはそもそもプロダクト・ライフサイクル・マネジメントというビジネスモデルを用いて製品開発の見える化を実現するマネジメント手法として語られるべきです。

 PLMシステムはプロダクト・ライフサイクル・マネジメントを業務に定着させるための道具にすぎません。

 今日では多くの企業でPLMシステムが導入されていますが、それらのシステムが必ずしも満足のいく形で運用されていない理由は、ビジネスモデルとしてのプロダクト・ライフサイクル・マネジメントの検討がおろそかになっているためです。そのため、現在導入されているPLMシステムはデータを管理するための管理ツールとしてしか機能していません。

 PLMシステムを業務に貢献するシステムとするには、PLMシステムをデータ管理システムでなく「業務系システム」としてとらえ、PLMシステム内で管理しているデータをトランザクションデータとして活用できるようにシステムを設計する必要があります。

図3 経営と開発の相互連携によるマネジメント
図3 経営と開発の相互連携によるマネジメント

 PLMシステムはきちんと導入すればかなり大きな成果を生むシステムです。PLMをビジネスモデルのプロダクト・ライフサイクル・マネジメントの側面でとらえることで、製品開発業務の改革を推進のヒントを見つけることが可能となります。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 今回はPLMシステムの製品開発業務を支援するためのビジネスモデルの視点からプロダクト・ライフサイクル・マネジメントをご紹介しました。

 本連載も次回でいよいよ最終回です。次回は連載の最後として、このようなPLMシステムを構築するときに発生するリスクとそれの回避方法についての検討項目を挙げて、失敗しないPLMシステムの構築のポイントを紹介したいと思います。

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