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ビジネスモデルとしてのPLM運用戦略構築のためのライフサイクル管理論(4) (2/3 ページ)

自社の製品開発戦略をしっかり把握しているでしょうか? 製品開発・生産技術の効率化を追求していたとしても、しっかりとした戦略とマネジメント意識がなければ意味がありません。本連載では、マネジメント技術としてのライフサイクル管理を考えていきます。

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「期間短縮」「品質向上」「コスト削減」のためのビジネスモデル構築のポイント

 次にプロダクト・ライフサイクル・マネジメントが実現するビジネスモデルのポイントに触れてみたいと思います。

 PLMとは、前述のように、大まかにいうと製品情報をプロダクトのライフサイクルにわたって一元管理し、関連する部門間の情報伝達スピードの向上と正確なデータへのアクセスを実現する「製品情報版大福帳型データベース」です。

 PLMを活用することで、製品の不具合に対する早期対応や手戻り工数を削減することが可能になり、結果として製品開発期間の短縮や製品品質向上およびコスト削減を実現します。

 そこで、「期間短縮」「品質向上」「コスト削減」を実現するためのビジネスモデル構築のポイントを解説します。

期間短縮のビジネスモデル

 製品開発業務の期間短縮を実現するにはどのようなことを実現すべきでしょうか。

 期間短縮を実現するには、情報の共有と情報間の連携を実現するための業務フローを確立するとともに、共有する情報を蓄積するためのインプットの部分を工夫する必要があります。

情報の蓄積方法・相互関係の掌握が重要

 いくら情報共有の重要性が理解できても、共有する情報が蓄積されないと、その仕掛けは定着しません。

 そこで、まず製品開発情報をどのように、どのタイミングで蓄積するのかを分析します。

 また、蓄積されている情報は製品開発のライフサイクル全般にわたって相互に関係しています。

 この情報の関連性を分析して、必要な人に必要な形の情報を提供するためのビジネスロジックを定義する必要があります。

品質向上のビジネスモデル

 品質管理活動はとにかくやることが多く、時間と手間の掛かる作業です。

 製品の品質向上を実現するためには、FMEAやチェックリストおよびデザインレビューなどを通して品質の見える化を実現しますが、品質管理活動には熟練者のノウハウが必要で、かつ多くの時間と手間が掛かります。

 品質管理活動の手間や時間を削減していくには、品質管理活動を標準化したり、過去のベストプラクティスを再利用できる環境を構築していくのが近道です。

 標準化活動や流用設計などを実現するには情報の再生産コストがほとんどゼロであるITの活用が不可欠です。

標準化・流用設計のためのノウハウの集約

 これらの品質活動をノウハウとして蓄積するとともに、テンプレートやウィザードなどを用意して管理やチェックを簡単にできるビジネスモデルを定義します。

 PLMを使って「設計しない設計」を実現する。これが品質向上のために実現すべき1つのビジネスモデルとなります。

コスト削減のビジネスモデル

 製品のコストを削減する方法として、調達戦略による部品原価の低減と使用する部品点数の削減によるコスト削減および不良や手戻りを大幅になくすことによるコスト削減といった施策があります。

 これらを実施する施策は一見別々の部門の施策に見えます。また、これらの施策はそれぞれ独立した施策として実施されている企業も多いかと思います。

 コスト削減の実現に向けては、従来の部門内で行っている施策と共に、部門間を円滑につなげる仕掛けづくりもポイントの一つとなります。

開発者と製造担当者に気付かせる仕組み

 それは製品開発および製造にかかわる人たちに製品のコストについての「気付き」を与えてあげることです。

 いくら購買部門が調達コストを下げても、設計者が製品仕様として安い部品を設計仕様の中に採用しなければ意味がありません。

 また購買部門は同じような仕様の部品や素材が設計仕様として検討されていても、それらが同じ用途に使われているのかどうか分かりません。

 流用設計や標準化を推進する場合も、設計者が自分が欲しい設計情報や図面などが社内にノウハウして蓄積されているのかどうかを見つけることができず、結果として過去に同じ設計を実施しているにもかかわらずに新規に設計してしまう場面をよく見掛けます。

 これは情報を管理する部門と活用する部門が異なっているからです。製品のコスト構造(原価)の70%は設計段階で決定されます。逆にいうと、量産以降のコスト削減余地は30%しかないということです。

 このように大きく製品のコスト構造を決定する量産以前の工程で、プロダクト・ライフサイクル・マネジメントを実現し、他部門で管理されている情報を、その情報を利用する部門に気付かせるビジネスモデルを定義したものがコスト削減のビジネスモデルとなります。

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