検索
連載

いまから出来る! 設計者向けCAE活用の事始めMONOistゼミ レポート(3)(2/3 ページ)

設計者向けCAEを活用してフロントローディングするためにも教育が大事なのはよく分かった。だけどすぐには無理という人にもひとまずアドバイス

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

3つの解析ソフトの立場からの講演

 今回は、設計段階でも有効活用できる解析ソフトウェアの代表選手3種が登場しました。このような短い時間の中、一挙に集うことはあまりないのではないでしょうか。各社それぞれ、設計者向け解析ツールの利点やそこに込められた思想などを熱く説明してくださいました。

『Algorが拓く実践的CAE』――CAEソリューションズ 石川 利光氏

 CAEソリューションズの石川 利光氏は、設計者向けのCAEは、ここ10年で飛躍的に導入率が伸びてきたけれど、業種により効果がまちまちであることを述べました。それは、線形静解析では効果を出しやすく、ゴムのシーリング部材の計算などの非線形解析では効果がうまく出せないところが要因ではないかと同氏は説明しました。


CAEソリューションズ 石川 利光氏

 設計者は、まずは線形解析に集中し、実験や試作も併用する方がベターでしょうとのこと。その次のステップとして、非線形解析もトライしてほしいとのことです。

 それを実現するには、設計者と解析専任者が同じツールを使うことが肝心だと石川氏は述べました。

 今年2009年よりオートデスク傘下となった「Algor(アルゴア)」ですが、日本での販売の歴史はまだ浅く、これから日本における認知をより拡大していこうとしているとのことです。同製品は線形解析だけではなく非線形解析も行え、設計者が使いやすいように配慮されています。解析スキルに応じたパッケージ(インターフェイスは同じ)を用意しています。MESという非線形のモーションと構造の連成解析機能を備えることも大きな特徴であります。


模型飛行機に付いているゴムひものような部品のねじり挙動

『CFdesign2010の概要および適用事例紹介』――CFdesignジャパン アプリケーション・エンジニア 筋野 徒志雄氏


CFdesignジャパン 筋野 徒志雄氏

 CFDは非線形解析であり、専門知識も必要で、まさに解析専任者ではないと、まっとうに扱えないのではないのかと思われがち。そのような見識を覆そうと取り組むCFdesignジャパン 筋野 徒志雄氏によるセッション。

 とにかく設計者にとって使いやすいこと、定性解析における正確さ、他社のCFDソフトウェアに比べ廉価になることを主な製品コンセプトとしています。「CFdesign」では、解析についての知識に自身がない人についても、アイコンやウィザードによる案内でサポートしているとのことです。

 また、3次元CADのファイルは中間フォーマットだけではなく、多種類のCADのネイティブデータを扱うことができるとのことです。

 温水と冷水を混合する蛇口のデモンストレーションで、同社製品について非常に分かりやすく説明してくださいました。


温水と冷水を混合する蛇口のデモンストレーション

『樹脂流動解析の活用と設計展開の落とし穴』――オートデスク モールドフロー シニアアプリケーションエンジニア 梅山 隆氏


オートデスク モールドフロー シニアアプリケーションエンジニア 梅山 隆氏

 樹脂流動解析は、成型に携わる技術者が活用するもの、すなわち設計者にとってはあまり関係ないのではないかと思われがち。しかし同社では、製品設計段階での樹脂流動解析を提案します。

 ショートやヒケ、ボイドなど成型トラブルの原因のほとんどは部品形状、すなわち設計サイドの問題であることを指摘し、設計段階でトラブルの種を潰していけば、試作と金型修正のやり取りを格段に減らし、コストも大幅に抑えられると述べました。多忙な中の解析業務は負担がかかるものではありますが、そもそも多忙さの原因となっている試作と金型修正の繰り返しのやり取りを大きく削減できる点にぜひとも着目していただきたいとのことです。また設計段階で成型不良の多くを制御しておけば、海外拠点での生産も安心できることも利点としました。

 今回は、樹脂成型の知識にあまり明るくない設計者にも配慮された「Autodesk Moldflow Advisor (オートデスク モールドフロー アドバイザー)」を紹介しました。この製品では、ヘルプ機能で、どうしてそのような結果が出てしまうのか、またどういう対策をしたらいいのか導いてくれます。新製品では、解析モデルのメッシングの際、CATIA、SolidWorks Pro/ENGINEER Wildfire4.0などの3次元モデルデータをアセンブリごとダイレクトに取り扱え、インサート成型などの解析もよりやりやすくなったとのこと。また同社のお客さま(設計者)による活用例も紹介されました。


製品の品質への影響度が高いのは、製品設計と金型設計に起因する課題

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る