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東大、念願の総合優勝! さよならSkywave650第7回 全日本学生フォーミュラ大会 レポート(4)(1/3 ページ)

東大、出場7回目にして悲願達成! そして、メンバーとともに戦ってきたエンジンが、チームを卒業していく。

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 東京大学のフォーミュラチーム UTFFは昨年まで、「目指せ総合優勝!」をタイトルに掲げ、MONOistに記事を寄稿してくださっていた。同校は、全日本学生フォーミュラ大会の第1回から出場してきたものの、伸び悩むつらい時期もあった。それが、ここ数年でメキメキとその実力を伸ばし、そして今年の第7回大会では、記事タイトルに込められた悲願が達成された。しかも、大きなレギュレーション改正という壁を乗り越えての快挙。おめでとう!

総合成績 1位(66チーム中)

静的審査

  • コスト審査 6位
  • プレゼンテーション審査 2位
  • デザイン審査 1位
  • 静的審査総合成績 1位

動的審査

  • アクセラレーション 3位
  • スキッドパッド 1位
  • オートクロス 2位
  • エンデュランス 1位

今回の東京大学チームは、どんな感じ?

 今年の東京大学チームの車両「UTFF 10」は、昨年のレイアウトや外観は大きく変えずに、剛性、重心、ブレーキ性能の3つを改善し、4WSを撤去した。今回は大きな冒険はせず、シンプルかつ堅実な設計方針で、確実に勝ちにいった感じ。

 また今回は燃費の配点比率が上がったため、エンジン開発においても、燃費の改善に積極的に取り組んだ。昨年までの同校の車両は、燃費がいいとは言い難かったという。


「実は、カウルの製作が間に合わなくて、ノーズだけは去年のものなんです」

 大会前の準備も、当日も、深刻なトラブルは起こることなく、ほぼ順調だったと東京大学チームの第7回大会時チームリーダー 後藤 健太郎さんはいう。トラブルをなるべく起こさないことは、この大会で勝ち残るための大事な要因となる。いくら経験豊富な大学でも、ひとたび大きなトラブルを起こせば、総合順位は大転落だ。

 ただ……トラブルについては、まったくなかったわけでもないとのこと。


東京大学 第7回大会時の チームリーダー 後藤 健太郎さん:大会当日は長髪だった。記事冒頭の表彰台の写真を参照

 今回の大会本番で、配点が大きいエンデュランス走行審査の走行中に、ターボが故障してしまったという。車両が走れなくなるということはないが、馬力が半減してしまう。それが発覚したのは、審査が終わった後。

 「ドライバーは、いつもどおり踏んでもパワーがうまく上がらないので、ヒヤヒヤしながら必至で走っていたようです。ドライバーが帰ってくるとゲッソリしていたので、どうしたんだろ? と思っていたら……あ、ターボが壊れてたのね、と……」と後藤さんは話した。

 幸い、ターボが壊れる前の走行は極めて順調で、チーム史上最速のラップタイムも記録していたという。壊れてから車両の馬力ががっくりと落ち、スピードが落ちてしまったものの、前半で稼いでいたマージン分が上智大学に詰められる形で収まり、結果的にもタイムは上智大学にギリギリ追い抜かれずに済んだ。

 結果としては幸いだったものの、来年は再発しないようにしっかりと対策していくという。

 「審査を観覧していた他校の間では、『燃費走行にしたんじゃないか』とか憶測が飛び交ったようです。僕たちがリアルタイムで点数計算をしていることは、もう他校にも知れ渡っていますから、わざと上智大とタイムを合わせてきたんじゃないのかって……。いくらなんでも、そんな器用なことはできません(笑)」(後藤さん)。

 審査結果は基本的に終わり次第、会場内の掲示板に張り出されるようになっているが、燃費の結果だけはエンデュランス競技がすべて終了した4日目午前中(デザインファイナル直前)に判明する。東京大学では、今年もエンデュランス中に、自分たちや他大学のラップタイムをExcelで記録し、あらかじめ分かっている予想燃費を掛け合わせることで点数を計算していた。結果予測について、他校が尋ねてくることもしばしばあるとのことだ。


東京大学 第6回大会時の チームリーダー 秋元 健太郎さん:今回は、新しい代に任せて……

 計算した点数予測を基に、ドライバーにどれくらいのタイムで周回すればよいか、無線経由で伝えていく。Excelで計算をするのはピットに控えていた元チームリーダー(第6回大会まで)秋元 健太郎さん、走行現場でドライバーに連絡を取るのは後藤さんという分担になっていた。

 燃費についてはあくまで予想値なので、実際の結果は少し変わることも当然ある。今回、東京大学の車両の予想燃費は3ぐらいと予想をしていたそうだが、実際は2.5とよいものだった。ターボチャージャーが壊れたことで、結果的に出力を抑えられたということか。

 「エンデュランスや燃費で多少負けても、すでに終えていた審査のいくつかでマージンをだいぶ稼いでいたので、安心感がありました。追うよりも、追われる方が心理的に楽のようです。馬力を落としながらも、それほどラップタイムを落とさなかったうえに、予想に反して燃費がよかったことで、総合第2位の上智大との点差が開きました」(後藤さん)。比較的リラックスした状態でエンデュランスに望んだことも、優勝への後押しとなったのだろう。

 なお総合点数の900点超えは、チーム史上初だという。


東京大学 UTFFのチームメンバーたち

ドライバーとラップタイム

 審査に慣れている出場常連校は、エンデュランス中、ドライバーが安心して運転により集中できるよう、周回を見守るメンバーがラップタイムを計測し、相手チームのタイム差や周回数などをドライバーに無線などで伝えるということを行っている。

 「上智大はサインボードを使っていますが、うちは無線だけですね」(後藤さん)。後藤さんがいうには、ラップタイムをまめに伝えてしまうとプレッシャーに感じるドライバーもいるとのこと。例えば、遅いときだけ知らせてほしい人もいるそう。東京大学チームでは、ドライバーの要望に応じて、無線での情報の伝え方を変えているとのことだ。

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