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ソフトウェア業界に従事する女性技術者達の本音ETロボコン2009、挑戦記(7)(3/3 ページ)

ETロボコンに欠かせないものの1つ、それは華やかな女性参加者達の存在だ。彼女たちは日々の業務でどのような思いを抱えているのだろう。

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憧れのエンジニア像

――現在、憧れ(目標)となる上司、または先輩はいますか?

酒井さん そうですね、ロボコンにかかわっている同じ会社の人でしょうか。前向きに取り組むことに関して話を聞いてくれるし、アドバイスなんかもしてくれるので、良い人だなと思っています。

笹竹さん 会社にというわけではなく、私自身、仕事を一生懸命やっている人になりたいなと思っているので、一生懸命な人には憧れますね。そういう意味でETロボコンに参加している方々は、皆さん本当に熱心にやってらっしゃるので、あの気合というか情熱というか、あれがもう少し自分にも出てこないかなぁと。昨年の大会でビデオを撮る係を担当していたのですが、(本番の)直前調整のときに渡邉さんがとても真剣にチームメイトの人に怒鳴っていたのを覚えています。あ、あんなに真剣になってカッコイイなと思って。

渡邉さん あのときは限られた時間の中で調整しなくてはならなかったのでつい(笑)。

渡邉さん 私が憧れているのは、特定の人ではないですが、例えばモデリングがすごくうまい人とか、いろんな技術を知っている人ですね。なので、会社には憧れになる先輩がたくさんいます。あえて挙げるとすれば(ETロボコンの)実行委員で直属の上司がいますが、明るくて楽しくてコミュニケーションの取りやすい人なので、私もあんな風にコミュニケーション能力を高めたいと思っています。ただ、一生懸命になりすぎてついていけません! と、思うときもありますけどね(笑)。

伊夫伎さん 私は、組み込みやソフトウェアに魅力を感じつつも、やはり小さいころから自分の強みにしていたリーダーシップというのも仕事の中で発揮していきたいという思いがあるので、最終的にはいまの技術/スキルを学びながらも、マネジメントの方に進んでいきたいなと思っているんです。そういう中でいうと、私のチーム(嗚呼!奥町ラジコン部)はもともと上司がロボコンを見付けてきて夫や同僚を誘って始めたのがきっかけなのですが、その上司のようにマネージャとして、自分のお金で何万円もするロボットを3台も買ってコースも作って、そういう機会を与えてくれるという上司はすごく目標になります。

伊夫伎さん ほかにもいまの会社にはマネージャや、10歳くらい上の先輩でテーマリーダーをしている人だと、懐が深いというか、学ぶべきことがたくさんあります。皆さん開発ってチームでされていると、どうしようってなったときに絶対最後にどうにかしてくれる誰か(テーマリーダーなど)がいると思いますが、そういう人にはすごく憧れますし、将来的には自分もそうなりたいなと思います。

渡邉さん 皆さんETロボコンの参加は自分からやりたいといい出してやっているのですね、私はトップダウンでやってこいといわれて始めたので……。

酒井さん その方が楽で良いですけどね。(ETロボコンで使用する)ロボットって、一見おもちゃじゃないですか。だから教育目的でやろうといい出しても会社に推すのが難しくって。なので私のチームも最初は伊夫伎さんのところと同じで、自己負担で個人登録で参加して、最初はぼろぼろだったのですが徐々に結果が残せるようになって、それでやってみてどうだったというのを社内で宣伝してみたりして、いまは会社名義で登録しています。

酒井さん ただそうすると、それはそれで結果がね(笑)。

伊夫伎さん そうなんですよ、だから2年目はすごいプレッシャーで。いまどうしようといっているんですよ。

笹竹さん 聞いていると皆さんそういうプレッシャーがあるみたいですね。

伊夫伎さん ありますね、昨年は個人だからそんなに良くなくても(しかも初年度だったので)だめもとで行けた感じだったんですけど、今年はもう。

笹竹さん でも初参加で全国(チャンピオンシップ)大会出場もすごいですね。

伊夫伎さん 東海大会は強豪チームが多いので、今年はちょっとね〜どうですかサヌックさん?

渡邉さん 去年はモデル部門で賞(エクセレントモデル)を頂きましたが、実は今年はまだ書けていなくって(提出は1週間後)。明日もやらないと……。

伊夫伎さん、酒井さん 私もだ。みんな一緒ですね(笑)

マイブーム

――最近のマイブームなどあれば教えてください。

渡邉さん 好きなゲームのサントラを集めています。大抵ブームになる前に下火になってしまうのですが……。

伊夫伎さん 料理ですね。結婚するまでは実家暮らしだったのであまりしなくてもよかったのですが、子供ができる前じゃないとゆっくりできないと思ったので、最近では夜10時以降に帰るときでもがんばって毎日作るようにしています。中でも楽しいと思ったのは、近所のスーパーで買った専用のキットでらっきょうや梅酒を漬けたりすることです。

酒井さん マイブームはいろいろありましたが、最近は忙しくてないですね。もともと好きなのは、何かお祝いごとがあるときに、何を贈ろうかと探すことです。後はラッピングなど。

笹竹さん 私はお酒が好きで、最近では特に日本酒を飲むのが好きです。なので夜ロボ(地区大会後に行われる親睦会)が楽しみですね。

自己啓発

――何かスキルアップでしていることなどはありますか?

笹竹さん プログラム関係では、情報処理技術者試験などを取るなど、1年間ほど頑張りました。ただあまり仕事には活用できないので、いまでは地元の手話サークルに通っています。日常会話くらいにはできるようになって、ライフワークみたいな感じです。後は料理教室にも通っています。自己啓発は結構好きですね。

酒井さん 私はTOEICの点数を取らなければいけないので、昨年のロボコンの目処がついた(10月末)辺りから教室に通い始めました。ただ、最近はロボコンがいよいよ切羽詰まってきて、全然通えてないですね。

伊夫伎さん 私は会社の中で英会話を学べるのでそれをやっているのと、秋の情報処理技術者試験を受ける予定です。ただロボコンがあるので勉強できていませんが……。後はアマチュアのオーケストラでやっているバイオリンです(伊夫伎さんはコンミスを務めている)。普段の練習では、合図を出して、違ったらどこどこのパートさん音を出して、というようにやっています。会社でテーマリーダやっているのと同じ感覚ですね。さすがに自分1人ではできないので、司会をやるから指摘してくださいという感じでやっていますが、私の中ではこれが隠れ自己啓発ですね。それで会社のテーマリーダーとしてのスキルになればいいかなと思っています。

渡邉さん 私は会社の方でいくつか推奨されている資格があるので、その中からUMLの資格を取らなければと思っています。自己啓発はETロボコンです。チーム開発やプログラムの勉強になっています。

伊夫伎さん 聞いていると、皆さんも、土日もロボコンであったり仕事につながることをしていて、あまり女の子女の子していないですよね。私は「それでいいの? 」と友人にいわれるんですよ(笑)

笹竹さん あっという間に時間が過ぎていきますよね。

酒井さん ダメだと思いつつもついやってしまって。それで余計にピリピリしてしまうんですよ。

渡邉さん 私はロボコン以外だと土日は家に引きこもってネットサーフィンしているので、親には外に出なさいよといわれています(笑)。

ソフトウェアエンジニアとして望むこと

――それでは最後に、ソフトウェア開発を通じてどのような社会貢献をしたいか。ソフトウェアエンジニアとして意識している役割などあれば教えてください。

笹竹さん まずは製品の品質を高めていくことです。これを実現するには勉強と経験が必要なので、仕事に積極的に取り組んで、なるべく多くを吸収したいと思っています。それと、できるだけ多くの人が不便・不満を解消できるものを作りたいです。

笹竹さん いまはとても便利な世の中になったといわれていますが、自分の親などを見ていると、細かい字が出てくるディスプレイ、ボタンだらけのキーボード、「クリック」という聞き慣れない動作を求められるマウスなど、どれも「使いにくいもの」という意識があるみたいで。インターフェイスだけでもこれだけの「不」があるのだからソフトウェアができることもまだまだあると思います。パソコンを使いこなせる人だけの便利さではなく、すべての人に便利さを供給できるようにしたいですね。

伊夫伎さん 私は、入社当時はOA機器、いまはアミューズメント関係の仕事をしていますが、どんな分野であれ、人が「あるとうれしい」とか、「便利だ」と思えることを実現したいと、ずっと思ってきたんです。手で文字を訂正しようと思ったら、1つずつ読んで見つけて、と、すごく時間がかかりますが、パソコンの変換機能なら、一瞬で訂正できてしまいますよね。そんなソフトウェアという魔法が、至る所で使われて、生活が豊かになればいいな、と思います。

渡邉さん 漠然としていて申し訳ないですが、世の中の役に立つものが作れたらいいなと思います。より多くの人に長く使ってもらえるような素敵なものを作ってみたいです。

酒井さん ソフトウェア開発をしていると、どうしても要求された機能を作り上げることで手一杯になりがちですが、常に(ソフトウェアの)設計技術の向上を目指して、人をサポートするさまざまなシステムを、より安全で便利なものにしていきたいです。後は技術や開発の盛り上がりで、ソフトウェア業界が活性化して、ソフトウェアエンジニア(特に組み込みで)に興味を持つ人がもっと増えて欲しいですね。

酒井さん そういう意味で、ETロボコン(ソフトウェアを競うコンテスト)などはとても良い機会だと思います。ロボコンを通じて、面白いと思ったり、自分で何かを作ること、工学系に興味を持ってくれる人が増えるといいなと思います。

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