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モノづくりシステムのROIがよくない5つの理由戦略構築のためのライフサイクル管理論(2)(2/3 ページ)

自社の製品開発戦略をしっかり把握しているでしょうか? 製品開発・生産技術の効率化を追求していたとしても、しっかりとした戦略とマネジメント意識がなければ意味がありません。本連載では、マネジメント技術としてのライフサイクル管理を考えていきます。

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理由3:目的と合致しないライセンス体系

 ERPソフトやSCMソフトも同じくソフトウェアの販売方法としてはソフトウェアライセンスという単位で販売されています。

 ソフトウェアライセンスとは利用するユーザーにソフトウェアを利用する権利を付与するということで、ライセンス単位に決まっている料金を利用する人数分支払うことが求められます。

 筆者はこの料金体系がPLMシステムの導入を阻害している1つの要因と考えています。

会計システムとは異なる使われ方が想定されていない!

 会計システムを使う財務部門や生産管理システムを使う生産管理部門は多くても数人から数十人程度です。

 しかし、PLMシステムを使う設計部門の設計者は大手の製造業ともなれば100人以上で、1000人を超す設計者がいる会社も少なくありません。

 そのような多くの人が利用できるだけのソフトウェアのライセンスを購入できる企業は限られています。

 PLMシステムは製品情報を製品開発に関係する人たちに流通させるシステムです。情報流通の効果を上げるためには参加者をできるだけ多くする必要があります。これを別のもので例えると、メールやインターネットと同じです。

 メールやインターネットが限られた人たちしか使っていないコミュニティのときの効果と、メールが企業や会社を超えて使われたり、インターネットが組織内だけでなく全世界で使われるようになったときの効果を比較すれば明白なように、情報を流通させる目的のシステムでは利用者が多ければ多いほど効果が出ます。

 PLMシステムは設計情報を企業内の製品ライフサイクルにわたってできるだけ多くの人に流通させるシステムです。

 PLMシステムの効果を享受するためにはできるだけ多くの人がPLMシステムにアクセスできる環境を提供する必要があります。そのためには利用する人単位に費用が発生するいまのライセンス形態で販売されるPLMシステムは、ソフトウェアの提供形態を大きく変更する時期に来ていると考えます。

理由4:生産管理システムとは異なるワークフローが必須

 PLMシステムにおいてシステム開発の柔軟性を維持することは必須要件だとか筆者は考えています。

 システムのカスタマイズが難しかったり、できなかったりすることはPLMシステムにとっては大きなマイナスポイントとなります。PLMシステムは設計者の創造性をサポートするシステムであり、この点においてほかのシステムとは大きく異なります。

生産管理システムとの比較

 例えば、生産管理システムと比較してみましょう。

 生産管理システムの機能にはMRP(資材所要量計画)と呼ばれるロジックが組み込まれています。MRPを実現するには次のような手順を踏んでいきます。

  • 受注状況や需要予測から生産すべき「総所要量」を求める
  • 総所要量に対し、資材が十分に調達できるかを在庫量や入庫予定を考慮して、手配が必要な「正味所要量」を計算する
  • 正味所要量をベースに調達納期や製造着手日を考慮した、「購買計画」や「製造計画」を立て、計画に沿って作業を実施する

 これに対しPLMシステムにも「商品企画」「基本設計」「詳細設計」「試作」「生産設計」などの工程はあります。

 しかし、これらの手順は順番に進むものではなく、前の工程に戻ったり、作業が完了している一部分のみ後工程に流したりと、製品開発の進ちょくに応じ柔軟に対応する必要があります。

 また、昨今はさまざまなコンプライアンス要件に対応したり、日々厳しくなる品質要求に耐えるように設計作業も日々改良を積み重ねていく必要性があります。

 このように当初計画されていなかった業務要件にも柔軟に対応し、設計部門のニーズに応えられる機能を短期間で実現することがPLMシステムには求められています。こうした追加開発が難しいこともPLMシステムが限定的な利用しかされない大きな理由の1つです。

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