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モノづくり総合力を競う学生フォーミュラ大会とは全日本学生フォーミュラ大会 はじめてガイド(2/2 ページ)

自動車の設計製作技術を競う、学生のためのモノづくりコンペティション 全日本学生フォーミュラ大会。本稿では、主にこの大会についてまだよく知らない人たちのために、大会の概要やレギュレーション、見どころなどを紹介する。

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参加校について

 学生フォーミュラのチームは、「〜大学自動車部」などオーソドックスな名前もあれば、「〜Racing」といった格好いいチーム名もあり、各チームの個性が表れるところでもあります。なお昔ながらの自動車部とフォーミュラ部は区別されている場合があるようです(もちろん同じ場合もあります)。

 たいていのチームはWebページを持っています。その体裁や内容も審査対象だからで、Webページを対象にした賞も設置されています。「大学名」+「学生フォーミュラ」のキーワードで検索すると、それぞれのチームのWebページを探すことができます。中には企業のWebページ並みのところもあります。

 学生フォーミュラの活動については、単位や卒業研究として認めている学校とそうでない学校があるという現状です。工学系の学生はともかく、文系の学生の単位の扱いをどうするかが悩ましい課題とのことです。

学生の技術レベル

 技術レベルそのものは、さすがに企業は超えられません。それに車両のすべてを設計し製作しているわけではなく、エンジンはスポンサー企業から供給してもらっています。車両が小さいので、バイクのエンジンを使うこともあります。ただ、ターボチャージャやCVTを採用したり、フレームにカーボンモノコックを使ったりと採用技術は非常に本格的です。学生ならではの独創的な発想も見られます。漆塗りの車両も登場しています。過去のMONOistでも学生たちの採用技術について、ほんの一部ですが紹介していますので、ぜひご覧ください。


写真4 第6回大会より:京都大学の漆塗りの車両

 特に出場常連校の組織構成や設計データ管理は小さな企業並みとはいえ、目を見張るものがあります。常連校の組織は、設計や製作を行う部隊は車両の部位(エンジンやシャシーなど)によって担当が分けられ、スポンサーを募るために奮闘する広報や営業を担当する部隊もあります。

 3次元CADは、学生の車両製作技術の向上に大きく貢献していて、手描きで製図していた一昔前では、今日のようなフォーミュラカーは学生の手で到底作れなかったといわれます。流体解析や構造解析も行っていますが、学生ならデジタルへの順応が早いでしょうし、学校のソフトウェアが使える、もしくはアカデミックパックが利用できるという点は、企業よりもITの環境的には恵まれているといえるかもしれません。上智大学では、コンピュータ解析技術をフル活用する空力設計(エアロダイナミクス)にも取り組んでいます。

4日間とも行くのは厳しい!?

 大会での審査は、大きく2種類に分かれます。ざっくりいえば、車両がコースで走行する審査(動的審査)か、もしくはそれ以外の審査(静的審査)かということです。大会エントリー時の書類審査結果も、大会当日の審査対象となります。

静的審査

  • コスト審査:製造コスト、その見積、製造工程を評価
  • デザイン審査:工夫された設計を評価
  • プレゼンテーション審査:マシンの商品性についてのプレゼンテーションを評価

動的審査

  • アクセラレーション:75m直線発進加速のタイム
  • スキッドパッド:左右それぞれの定常円旋回のタイム
  • オートクロス:直線、コーナー、スラロームからなる約900mのコースの1周タイム
  • エンデュランス:22kmの耐久走行のタイム
  • 燃費:エンデュランスでの燃料消費

*「目指せ総合優勝! UTFFの4日間」より:詳しくは大会公式ページ「競技概要」をご覧ください。


配点について

 総合得点は1000点満点です。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 エンデュランスの配点は350点と大きく、この結果が総合順位に大きく効いてきます。ただし最終日に、デザイン審査の上位校が対象となる「デザインファイナル」という審査で、順位が引っくり返ることもあります。

 審査は、学校の先生方や自動車メーカーのボランティアが担当しています。大変な事故から学生たちを守るためということもあって、審査にあたる方々も心を鬼にして厳しく審査しているのだとか。彼らは、審査ばかりではなく、会場受付や動的審査時のアナウンスまで、大会運営にまつわるさまざまな役割を受け持っているのです。

当日の日程

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 最初の2日間は、車検や静的審査が中心です。友人や知り合いが参加している場合でもなければ、「クルマを見ているだけで幸せ」状態のような人以外では、ちょっぴり退屈に感じる日程なのかもしれません……。一般来場者には、3日目 8時からの車両走行の審査(動的審査)からの観覧がお勧め。この日の動的審査では、走行タイムの速いチームが先に走ります(天候が悪い場合などは変更される可能性があります)。

 業務の都合で平日は厳しいという人が多いと思いますが、そのような場合は4日目の動的審査(エンデュランス走行)や一般来場者向けイベント*内容については公式サイトで当日スケジュールをご確認ください をご覧になるといいでしょう。土曜日である4日目の最終日は、動的審査の一部とデザインファイナルと、表彰式などが行われます。この日には、ちょっと不調な常連校や新規参加校の走行などが見られますが、ちょっとしたハプニングを起こしながらの悪戦苦闘ぶりを見ていると、応援に熱が入ります。表彰式では、ピリッと緊張した大会中とは一転し、やんちゃな学生たちの一面を覗くことができます。

併せて見ておきたい記事、Webサイト

 最後に、学生フォーミュラ大会をご覧になる方へ、参考になりそうなMONOistの記事やWebサイトをご案内しておきます。

学生フォーミュラについて

  • 学生フォーミュラ大会 公式サイト
  • 大会会場のエコパ(小笠山総合運動公園ECOPA)へのアクセス
  • 住鉱潤滑剤の学生フォーミュラ大会紹介
  • 本田技研工業の学生フォーミュラ支援

車両技術の入門知識(MONOistより)

 MONOistの学生フォーミュラ特集で、過去の大会レポートをすべて集めています。もちろん、毎年開催する大会の記事も随時アップしていきます。ぜひご覧ください!

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