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ここからすべては始まる。三大有限要素はこれだ!設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法(3)(2/3 ページ)

「バー要素」「シェル要素」「ソリッド要素」のそれぞれが持つ長所や欠点を詳しく楽しく解説する。

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3.手間はかかるがCPUに優しいエレガント系、シェル要素

 次は、シェル要素です。

 ソリッド要素の要素分割の説明で使ったのと同じ円筒管をシェル要素で分割してみました。シェル要素には三角形と四角形があります。三角形と四角形のシェル要素は1つのモデルの中で混在して使うことができます(図4)。


図4 円筒管をシェル要素で分割

 シェル要素で分割すると、ひとまわり小さく感じませんか? それもそのはず、シェル要素は部品の表面にはないからです。シェル要素は「板」ですから、今回の例では、厚さ20ミリの円筒管の肉厚の中心位置に面を作成し、その面の上にシェル要素を作成します。この中心位置の面を「中立面」といいます(図5)。


図5 中立面とは

 中立面は分かりやすい概念ではありますが、1つ問題があります。それは「CADデータをそのまま使えない」ということです。3次元CADのソリッドモデル(ソリッド要素ではなく)を使う場合、中立面はソリッドモデルの中に埋もれていることになります。中立面はそもそもないわけですから、シェル要素のために中立面を作る必要があります。また3次元CADのサーフェスモデルを使う場合、サーフェスは中立面ではなく製品面として作成されます。中立面は製品面のサーフェスをオフセットして作成する必要があります。つまりシェル要素を使う場合は、中立面が必要で、ほとんどの場合、中立面を作成する必要があるということです。中立面自動作成機能を持つプリ・プロセッサもありますが、手作業による修正が必要な場合が大半です(図6)。


図6 中立面の作成

 ここで解析時間について説明しておきます。解析時間は節点数に比例します。それも単純な線形の比例ではありません。指数関数的な比例です。マシンのCPUパワーやメモリの大きさにも依存しますので、ハッキリと予想はできませんが、節点数が増えると飛躍的に解析時間がかかるようになります。

 シェル要素は中立面の作成などで手間はかかりますが、節点数を大幅に少なくすることができます。今回の例題の円筒管では、ソリッド要素の六面体を使った場合の節点数は、シェル要素の四角形を使った場合の4倍にもなりました。モデルの規模にもよりますが、節点数が4倍になれば計算時間は4倍以上かかることは間違いありません。

 シェル要素が適した部品は「板モノ」です。板金製品、自動車や飛行機のボディなどの要素分割にはシェル要素が適しています(図7)。


図7 シェル要素が適した部品・製品

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