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ケータイアプリ事情−iPhoneからAndroidへの移植も組み込みイベントレポート(2/2 ページ)

今回のテーマは“ケータイ”。話題のAndroidやiPhone向けアプリケーションの展示・デモンストレーションを行っていたブースを中心に紹介する

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 iPhone/Androidのアプリケーション開発の取り組みとは少し離れてしまうが、番外編として、ESEC会場で気になったケータイ関連の新プラットフォーム、ツールについて簡単に紹介する。

番外編(1)−デザインと機能をカスタマイズできるプラットフォーム

 エヌアイデイのブースでは、2009年5月12日に発表(プロモバ)された「携帯電話の機能とデザインを簡単にカスタマイズできるプラットフォーム」の試作版の展示・デモンストレーションを行っていた。

 同製品はエヌアイデイ、アクロディア、レジェンド・アプリケーションズ、アイエスピーの4社共同開発によるもので、既存サービスで存在するような単なる待ち受け画面のカスタマイズだけでなく、携帯電話そのものの機能まで含めてカスタマイズできるプラットフォームだ。「ユーザーや企業のニーズに合わせて、画面や機能をカスタマイズするのは開発コストがかかり大変な作業。このプラットフォームを採用すれば容易に機能とデザインをカスタマイズできる。多品種小ロットのケータイも効率よく開発することが可能だ」(説明員)。

 例えば、起床から通勤までの間はパーソナル・モードとして待ち受け画面に「メール」「ゲーム」「スケジュール」などのプライベートで必要となる機能をアイコン表示させておき、出社時にはビジネス・モードに切り替え、業務で不要となる機能(例えば、カメラやゲームなど)をロックし、業務用途のアプリケーションのみを待ち受け画面に表示させるといった利用が可能になるという(画像6)。「ビジネス用途へ切り替える(その逆も)際のトリガーとしては、Felicaによるタッチなどが考えられる。出社・退社時にFelicaリーダ(勤怠管理システム)に携帯電話をかざすことで利用者は意識せずにモードを切り替えられる」と説明員。

左がビジネス、右がパーソナルをイメージした待ち受け画面
画像6 左がビジネス、右がパーソナルをイメージした待ち受け画面 
待ち受け画面上に配置されている機能(アイコン)の種類がそれぞれ異なる

 また同製品は、従来の待ち受け/メニューのカスタマイズサービスよりも、さらに深い階層(第1階層以降)までカスタマイズ可能だという。例えば、従来のサービスでは変更できなかったメールの作成画面なども自由にカスタマイズできるとのこと。「ブランド携帯など世の中に出ているが、このプラットフォームであればユーザーニーズに合ったUIデザインをより自由に、短期間に開発できる」と説明員。

 今後、キャリアや端末メーカー、OSなどに依存しないプラットフォームとして提供できるように開発を進めるとともに、開発・UIデザインツールを統合した開発環境の準備も進めていく予定だという。ESECの会場では開発ツールとしてアクロディアのオーサリングツール「VIVID UI Workshop」を展示していた(画像7)。

アクロディアのオーサリングツール「VIVID UI Workshop」
画像7 アクロディアのオーサリングツール「VIVID UI Workshop」

番外編(2)−Symbian OS向け開発支援ツール

 アイ・エス・ビーは、Symbian OS向けのアプリケーションおよび、ミドルウェアの開発支援ツール「Smartmark Tools」の展示・デモンストレーションを行った(画像8)。

 同製品は、スクリプトによる試験実施と性能比較を行う「Benchmark」、パケット・ログの構造解析を行う「Packet Analyzer」、ターゲットプロジェクトのCapability(信頼の指標)が正しい設定であるかどうかをチェックする「Security Checker」、CPU利用率をスレッド、DLL、API単位で取得しボトルネックの分析が行える「Profile Analyzer」、JTAG-ICEと連携し、評価ボードを使用した開発で必要なETM(Embedded Trace Macrocell)データを分析・表示する「ETM Analyzer」からなる。

 これらはSymbian OS用の統合開発環境「Carbide.c++」のプラグインとして動作するため、開発者は使い慣れた環境で、性能比較や解析を行えるという。

「Packet Analyzer」の様子
画像8 「Packet Analyzer」の様子

 また同社は、Symbian OSをFreescale Semiconductorのアプリケーション・プロセッサ「i.MX 31(ARM11)」を搭載した「Armadillo-500 FX」(アットマークテクノ製)へポーティングしたものを展示していた(画像9)。

Symbian OSをポーティングしたArmadillo-500 FX(右)
画像9 Symbian OSをポーティングしたArmadillo-500 FX(右)



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 “ケータイ”にフォーカスしてお届けしてきたESEC2009レポート。こうして注目してみると、過去のESECではあまり見られなかったケータイ・アプリケーションの展示やデモンストレーションが少しずつ増えてきたように思う。

 その要因として考えられるのは、iPhoneやAndroidの登場。そして、App StoreやAndroid Marketなどのアプリケーション配布の仕組み・サービスの存在だろう。これら各サービスに多少の違いはあれども、このような土壌が整いつつあることは、アプリケーション開発者にとって追い風であり、また企業にとってもビジネスチャンスを生むきっかけになるのではないだろうか。

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