見えてきた!? ケータイ以外でのAndroidの適用例:組み込みイベントレポート(2/3 ページ)
携帯電話向けプラットフォームとして注目される「Android」。その存在は“非ケータイ分野”の組み込み開発者にも大きなインパクトを与えている
Androidの非ケータイ適用例(2)
ユビキタスは、Texas Instruments(以下、TI)の「BeagleBoard(OMAP3530)」にAndroidと同社の「UbiquitousSAFE DTCP-IP」を実装した“次世代携帯端末向け DTCP-IPソリューション”の展示・デモンストレーションを行った(画像5)。
DTCP-IPとは、地上デジタルテレビ放送対応のHDDビデオレコーダなどで録画された映像コンテンツ(著作権保護されたもの)を、ホームネットワーク内で秘匿性を維持しながらもほかの機器に伝送するための技術で、DLNAにおける著作権保護技術として採用されているものだ。
同社は次世代のデジタルネットワーク端末におけるDLNA対応が今後加速していくと見込んでおり、今回のソリューションをデジタル情報家電や携帯端末などに展開させていくという。なお、2009年6月末に、OMAP3530およびAndroidに対応したUbiquitousSAFE DTCP-IPの提供を予定しているとのこと。
「携帯電話以外のモバイルデバイスでのAndroidの活用事例が海外で出はじめている。今後、国内でもそのような動きになると予測しており、無償提供されているAndroidと、情報家電やポータブル機器などで普及が見込まれているOMAPとを組み合わせることで、次世代のデジタルネットワーク端末への展開を狙っている」(説明員)。
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Androidの非ケータイ適用例(3)
冒頭で紹介したOESFの正会員であるアイ・エス・ビーは、リビングにおけるAndroidの適用例として、Androidをポーティングした評価ボード(TIのアプリケーション・プロセッサ「OMAP3530」を搭載)と液晶ディスプレイを用い、動画再生/音楽再生、Webブラウジングなどのデモンストレーションを行った(画像6)。
さらに、同社はAndroidを載せたArmadillo-500 FXと、Bluetooth、FMラジオ受信、無線LAN機能を1チップ化したBroadcomのIC「BCM4325」を搭載した評価ボード(太陽誘電)を用い、Bluetooth対応キーボードによるワイヤレス操作の実演も行っていた(画像7)。
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最新の低消費電力プロセッサへの適用も
NECブースに出展したNECエレクトロニクスは、モバイルAV機器向け超低消費電力マルチメディア・プロセッサ「EMMA Mobile 1」シリーズの最新製品「EMMA Mobile 1-D」と「EMMA Mobile 1-S」を展示。その中で、Androidを用いたデモンストレーションが行われていた。
EMMA Mobile 1シリーズは、ARM11とDSPコア、H.264機能ブロックなどを1チップに集積したマルチメディア・プロセッサ。D1サイズ(720×480ドット)の表示画面での30fps 動画再生・録画、MP3(MPEG Audio Layer-3)、AAC(Advanced Audio Coding)などの各種音楽再生・録音などを低消費電力で実現できるというもの。EMMA Mobile 1-Dは、Mobile DDR SDRAM(512Mbit)をパッケージに内蔵した製品。一方のEMMA Mobile 1-Sは、Mobile DDR SDRAMとの外部I/Fを有する(外部RAMサイズは最大2Gbitまで対応)製品となっており、両製品ともに2009年5月11日に発表(参考:プレスリリース)されたばかりのものだ。
同社は、Androidを実装したEMMA Mobile 1-Sの評価ボードと、CSRのBluetoothチップおよびWi-Fiチップを搭載した評価ボードとを接続。Wi-Fi経由でのインターネット接続と、Bluetooth経由で音楽をスピーカーに出力するデモンストレーションを行った(画像8)。「同じARM11のモバイル・プロセッサと比較しても、低消費電力を実現している」(説明員)。
EMMA Mobile 1シリーズは、携帯電話機器向けチップセット「Medity2」の基本アーキテクチャを移植しており、自動クロック制御、自動周波数制御、電源スイッチ制御を行うパワーセーブ・モードを使用することで消費電流を抑制することが可能だという。上記で紹介したデモンストレーションの横では、H.264 30fpsの動画再生時の消費電流を比較するデモンストレーションが行われた(画像9)。実際、240mA程度あった消費電流(パワーセーブ・モード OFF時)が、パワーセーブ・モードをONにすることで70mA程度と3分の1ほど低くなっていた。
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Android向けのデバッグツールも登場
Javaソースプログラムの静的解析ツール「PGRelief Java 2009」を富士通ソフトウェアテクノロジーズが出展(画像10)。これまで、C/C++向けに提供されていた同社の静的解析ツールPGReliefのJava対応バージョンの位置付けで、2009年7月から販売が開始されるという。
「Javaが普及しているエンタープライズ市場での展開だけでなく、組み込み市場での展開にも期待している。Androidの登場で、組み込み分野でもJavaを使用した開発が拡大していくだろう」と説明員。同製品は、Eclipseのプラグインとして提供されるためJava開発者が使い慣れた環境で違和感なく使用できるという。
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横河ディジタルコンピュータは、システム全体の可視化、分析、数値化できるデバッグ技術「システムマクロトレース」を搭載したデバッグツール「adviceLUNA」を展示した。システムマクロトレースとは、関数やタスクの実行履歴、処理時間をグラフ表示することでシステム全体の動きやソフトウェアの動きを可視化する技術のこと。製品ラインアップは、システムマクロトレース(SDカードI/F)、システムマクロトレース(外バスI/F)、ETMトレース(ARM)、JTAG/SWDの4タイプ。最大4GBytesのトレースデータを蓄積できるという。同社ブースでは、JTAG経由でAndroidを可視化するデモンストレーションと、SDカードI/F経由で可視化するデモンストレーションが行われていた(画像11)。なお、同製品は2009年6月からの販売となっている。
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