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進ちょく率管理で納期遅れを防げないのなら……TOC流の開発型プロジェクト管理術「CCPM」(5)(1/3 ページ)

量産型工場の生産管理手法として生まれたTOCは、そのエッセンスを拡張させて設計開発型業務のマネジメントにも応用されている。TOCの最新ツール「クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント」を紹介しよう。

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 前回までの連載で、開発プロジェクトをマネジメントするポイントは、バッファをマネジメントすることであると述べ、バッファを中心としたマネジメント(PDCAサイクル)のPlan(計画段階)方法について説明してきました。今回は、Do(実行段階)からCheck(確認段階)について考えてみましょう。

CCPMでのプロジェクトの実行方法

 バッファを織り込んだプロジェクト計画が出来上がったら、プロジェクトの実行段階(Do)に入ります。もしプロジェクトが当初の計画どおり進むのであれば、実行中の管理はほとんど必要ありません。ただ粛々と実行する、それだけです。

 しかし、これまで説明してきたように開発プロジェクトには多くの不確実性があり、それを事前にすべて計画に織り込むことは不可能です。現在何が起きているかを把握し計画を修正する。そしてその影響がバッファに対して大き過ぎないか確認し、大き過ぎれば対策を打っていく。つまりPDCAサイクルのDo・Check・Actionを確実に行っていく必要があります。

 CCPMでは、進ちょくの把握は週に1〜2回行い、これに応じて日程を修正しながら進めていきます。各タスクの日程はこの状況を反映して変わっていきますが、プロジェクトバッファの日程は変わりません。ボトルネックである市場へ投入する納期が変わらないので当然です。プロジェクトが遅れてくれば、バッファが侵食されるという形で進んでいきます。プロジェクトの状況は、このバッファの侵食具合を見ることによって確認していきます。

 進ちょくを把握するためには、通常の計画に対して実績がどの程度完了したかを「進ちょく率」という形でヒアリングします。しかしこの方法では過去に「どれだけできたのか」は把握できても、納期への影響を把握することはできません。

 例えば、10日で計画されているタスクの進ちょく率が90%完了と報告されたとすると、単純に考えれば残り10%ですから、10日の10分の1、後1日でそのタスクが完成すると考えられます。もしそのタスク実行にこれまで9日かかっていたのなら、予定どおりということです。

 しかし通常タスクは最終段階になればなるほど難しくなります。タスクの90%完成までは9日であっても、タスク完了時の取りまとめ作業で後9日かかるといった可能性もあります。このように過去どれぐらい頑張ったのかを進ちょく率で把握しても、この先どうなるのかは分かりません。これではまるでバックミラーを見ながら運転しているようなものです。

 そこで、CCPMでは進ちょくを把握するために残日数管理という方法を採用しています。現在実施されているタスクが「後何日かかるのか?」と先の見通しを把握していき、それに合わせて後続タスクの日程を修正していきます。残日数管理の頻度は、バッファの長さを基準に決めますが、通常1週間に1〜2回行います。1週間に1〜2回残日数という形で進ちょくを把握し、日程を修正していきます。

 このように、納期に対してどうなるのかを常に把握していると、常に最新状況を反映した計画を見ながらプロジェクトを進められるようになります。ここで注意すべきなのは、計画時点で立てた日程がどんどん変わるので、タスクの担当者にその修正状況を伝えておかないといけないという点です。このためコミュニケーション方法を確立し徹底する必要があります。定義しておくべきコミュニケーションルートは、

  • 残日数の収集伝達ルート
  • 重要なリソースへの最新日程状況伝達ルート
  • プロジェクト状況(バッファ状況)の伝達ルート
  • 遅れへの原因追求対策実施協議ルート

の4つになります。

 またプロジェクトを実行するに当たっては、できるだけバッファを無駄にしないよう進めなければなりません。ムダにバッファが使われる原因は、第1回「なぜプロジェクトの進行計画はいつも壊れるの?」で説明したとおり、学生症候群、悪いマルチタスキング、早期完了の未報告などさまざまです。この発生を減少させる方法は、次回のAction(対策段階)で具体的に説明しますが、プロジェクトリーダーはバッファをムダに使わせない進め方を常に意識しておく必要があります。

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