速さと性能の確かさを――ETロボコン2008最終章:ETロボコン2008〜チャンピオンシップへの道〜(5)(1/3 ページ)
8月から開始したETロボコン連載も、ついに最終章! 全国区の大会はモデル・走行ともに激しい熱戦が繰り広げられた。
質の底上げが見られた、2008年度チャンピオンシップ大会
2008年11月19〜20日の2日間、Embedded Technology 2008(組込み総合技術展)が開催されていた会場の一角で、2008年度ETロボコンの全国大会、通称チャンピオンシップ大会が行われた。
「今年はモデル(設計)と走行の良しあしが一致していて、非常にバランスの取れたチームが多かった」という渡辺 博之氏(大会審査委員長)の総評にもあるように、今回の大会は、まさに今年から新しく取り入れられた総合審査方式(連載第3回を参照)の期待に沿うような結果となった。
これまで関東地区を中心に取材を進めてきたが、今回のチャンピオンシップ大会を通じて、全国区のレベルをまざまざと体感した。全参加チーム数291チームから選抜された40チームによる熱戦の数々は、モデルの性能だけでなく、競技中に走行体(ロボット本体)から音を出すパフォーマンスや、意図的にショートカットすることで大幅にタイムを縮めるドルフィンジャンプ、チームオリジナルのユニフォームと華やかな応援団など、初めてETロボコンを見に来た方でも十分に楽しめるものだったに違いない。
中でも、モデル部門2位、競技部門1位、総合1位という輝かしい結果を残したADoniS(アドヴィックス)や、高専出身の若手社員を中心としたフレッシュな顔触れで臨みモデル部門1位、総合3位となったサヌック(明電システムテクノロジー)など、東海地区常連という2チームの活躍が印象に残る。
ADoniSについては、走行が完ぺきだったといっても過言ではない。インコース、アウトコースともに難所をクリアし、さらにゴール後停止という、決められた区間内で3秒以上停止するといった高得点の技も決めていた。2回目の走行時には、関東地区のあずまひろしはじめましたとともに、ノーミス、高スピードの見事な最終走行を披露し、その日1番の拍手を集めた。
サヌックは、設計面での評価が非常に高かった。PID制御、センサ回りのフィルタリング制御などのハイレベルな制御技術を駆使しており、モデルの見せ方という点で見ても、オリジナル性の高い、分かりやすいモデルとして大会2日目に行われたモデルワークショップの中でいく度も紹介された。1回目の走行は残念ながら途中リタイアだったが、2回目の走行では、難所、ゴール後停止をなんなく決め、安定した走行を披露していた。
画像4 モデル部門1位、サヌックのモデル
会場に張り出されていた各チームのモデルには、審査員からの若干辛口なコメントが記入されていた。各チームのモデルは、大会の2週間前に行われたモデル審査合宿の中で、約10時間かけて審査されたという。渡辺審査委員長は、「いままでで一番密度の濃い審査ができた」と語った
サヌックのモデルは、 3ページ目にて詳しくご紹介
大会2日目に行われたモデルワークショップでは、18名の審査員が夜を徹して審査したというモデル審査の結果を基に、今年の傾向やモデル内容についてパネルディスカッションやディベートといった形式で紹介された。(モデルワークショップの内容については次回以降に詳しくご紹介)
モデルワークショップではそのほか、審査員が会場に張られている各チームのモデルを解説しながら歩く“モデル解説ツアー”や、4つのテーマから参加者が学びたいものを選択し、審査員からモデリング技術などを学ぶ“ミニワークショップ”、そして参加者でなくてもモデルについての疑問を個別に相談できる“モデル相談所”が設けられていた。去年から始めたというこの形式は、参加者からも「大変勉強になる」と好評のようだ。
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