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設計品質と性能のシンクロ率は高い方がいい?ETロボコン2008〜チャンピオンシップへの道〜(3)(1/3 ページ)

11月に開催されるチャンピオンシップ出場チーム(関東地区)が決定! 今大会は設計モデルの品質と性能がいかに同期しているかが鍵となった。

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 11月開催のチャンピオンシップに進出する関東地区代表18チームが決定した。意外と多い? と思われた方もいるかもしれないが、総勢130チームから選出された18チーム。どのチームも強者ぞろいである。

 残念ながらすべての走行は見られなかった筆者だが、大会審査委員を務めたスタッフの方々からは“難所に挑戦するチームは少なかったものの、安定した走りをするチームが多かった”“モデルにしても走行にしても全体的にレベルが上がっている”“今年はモデルの順位と走行順位、両方で上位にランクインするチームがいて、モデル設計の品質と性能が同期したものが見られた”という喜びの声が多々聞かれた。

ETロボコン2008関東地区大会の様子
図1 ETロボコン2008関東地区大会の様子

 関東地区大会は今年から参加チームをA、B、Cの3グループに分け、それぞれ1日ずつ開催。グループの上位6チームが11月に開催されるチャンピオンシップへと進出する。従って大会は3日間かけて行われるが、毎日が決勝戦という感覚である。

 大会後の表彰式では競技部門とモデル部門の上位3チーム、そしてその2部門の結果を加味した(注:総合結果の算出方法については後ほど詳しく紹介)総合の上位6チームが表彰された。

結果1
2日目走行部門1位ドルチェ表彰式の様子2日目モデル部門1位てまりん 図2 2日目走行部門1位ドルチェ/図3 表彰式の様子/図4 2日目モデル部門1位てまりん

結果2
関東大会のコース司会者の2人提出したモデルの返却例 図5 関東大会のコース/図6 司会者の2人/図7 提出したモデルの返却例

結果3

3日目に走行、モデル、総合で3冠を達成したあずまひろしはじめましたのモデル
図8 3日目に走行、モデル、総合で3冠を達成したあずまひろしはじめましたのモデル

 連載1回目でもお伝えしたように、ETロボコンの目的は“新人教育、技術力向上、他開発者との交流の場”である。つまり、審査後のフィードバックがなくては終わらない。表彰式後にはモデル審査委員、性能審査団による“モデルワークショップ”が開催され、各チームから提出されたモデルに対する審査員からの講評、クラス図の描き方など連日異なるメニューでの勉強会、参加者間の質問会が行われた。これはあくまで審査員からの一方通行の説明会ではなく、参加者からのディスカッションを含めた勉強会ということを意識した構成となっている。

 上記の大会結果からも分かるように、走行もしくはモデル部門で1位になっても、総合結果では上位6チームに入っていないチームが複数ある。これは、今年から新たに取り入れられた“総合審査方式”によるものである。

総合審査方式の説明スライド1総合審査方式の説明スライド2 図9 総合審査方式の説明スライド1。モデルの走行結果を単純に足して2で割るのではなく、両者をバランスよく評価している/図10 総合審査方式の説明スライド2

 総合審査方式では、走行とモデルのバランスの良さを高く評価するため、両者の調和平均を取っている。

 図10のプロット図は昨年のETロボコンの結果に上記の式を当てはめたものである。上位15チームのデータを基に赤線が相加平均、青線が調和平均を取ったものとなっている。モデルと走行のバランスの良さを追求するので、今年は青線に沿った両方が同程度に良いチームが総合上位に入賞する仕組みだ。

 「昨年度までの方法だとモデルがあまり良くなくても、とにかくスピードが速ければ上位に食い込めていた、あるいはモデルは非常に良いのだけれど、走行が極端に遅いといったチームが多かった。今年は両方をバランスよく追求してもらいたいということで、調和平均を用いたこの方法を採用しました」(モデル審査委員 鷲崎 弘宜氏)

 審査団としては、図10のようなグラフで表したときにすべてのチームが対角線上に並ぶことを期待しているという。

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