コースアウトも何のその、ロボコンにも“鈍感力”を:ETロボコン2008〜チャンピオンシップへの道〜(2)(2/2 ページ)
ETロボコン関東地区2回目の試走会の模様をお届けする。ツインループやショートカットなどの“難所”に挑む参加者たちの思いとは?
引き続き、参加者のインタビューを紹介する。各チームの熱い思いをぜひ感じていただきたい。
埼玉県立熊谷工業高校
関東地区では今大会最年少となる高校生チームが2チーム参加している。その1つが「埼玉県立熊谷工業高校」。放課後の時間を使い先生に指導を受けながら練習しているという3年生の2人が試走会に挑んだ。ほかのチームが平均5人ほどで構成されているのに対し、彼らは2人でやっているというから驚きだ。コースの回りで頻繁に相談しながら、2人で改良を加えていたのが印象的であった。
――学校では、普段からモデリングの勉強をしているのですか?
「プログラム言語の勉強はしていますが、モデリングは習っていません。今回は、課題研究一環で参加しました」
――前回の試走会から比べて、調子はどうですか?
「今回はコースアウトしてしまった場合のリカバリとしてバック走行する機能を加えました。しかし普段練習しているコースと違うので、なかなかうまくいきません。普段は大会本部から支給された小さいコースで練習しています」
――走行のポイントとしているところはありますか?
「難所などは通らずに、完走を目指します!」
すねいる
別名、組み込みのプロ(WRO(注)決勝大会の審査員もされていた)とも呼ばれる「すねいる」の吉田氏。実は前回の記事で紹介したロボットの実機は、吉田氏のものだ。
――ETロボコン参加2年目とのことですが、今年はどこに力を入れていますか?
「仕事ではメカ的なことを扱っているので、今年はモデリングなどのソフト面をこだわりたいと思っています。でも、やはりエレクトロニクス的なところにこだわってしまうんですよね」
――現在の調子はどうですか?
「難所を狙うために、動かしてはダメ、動かしてはダメを繰り返しています。紙の上ではうまくモデリングできたと思っていても、実機だとなかなかそのとおりには動いてくれません」
――ETロボコンの面白さはどこにあるのでしょう?
「ほかの参加者の方がいろいろな工夫をしているのを見るのが面白いですね。また、普段仕事だと同じ目的を持った人と作業をすることが多いですが、ここではさまざまな年代の方が異なる目的を持って参加しています。そういう方たちの話を聞いているだけでもよい刺激になりますし、交流の場としてとても魅力的だと思います」
からっ風産学隊(両毛システムズ、群馬大学)
「からっ風産学隊」は、両毛システムズが組み込み教育の一環として、群馬大学にETロボコンへの協力を依頼したところ、“どうせなら”ということで結成された大学と企業の混合チームだ。
――作業時間はどのように取っているのですか?
「業務時間後に、学生に会社へ来てもらって一緒に作業しています」
――走行やモデルで工夫している点などはありますか?
「とにかく確実に走行できるように、リカバリや灰色検出をする部分に力を入れています。地区大会へ向けた課題となっています」
――前回の試走会から改良したところはどこですか?
「少しだけ、難所に挑戦しました。ツインループのボーナスが大きいので、そこが取れたらいいなと思います。ショートカットの点線、アイデアはいろいろ出していますが、それを実現させるのは難しいです」
「こうして実コースで走らせてみると、通常走行でさえも難しいと感じます。思ったとおりになかなか動いてくれません。光の当たり具合や床の硬さなど、コースの状態に大きく左右されます。こういうことは試走会という場がないと気づかない点ですね」
関東地区大会は2008年9月13日から15日の3日間で行われる。モデル審査はすでに始まっており、大会当日は走行タイムの結果と併せて2008年11月のチャンピオンシップ大会への参加チームが発表される。
準備段階ではうまく走行できていたのに、当日のコース状態などにより思わぬアクシデントに遭遇! なんてこともよくあること。普段の練習コースと異なる環境下でも、臨機応変に対応してくれるプログラムが組めれば……。ひそかに2009年大会への参加をもくろんでいる筆者は、若干のコースアウト時にも“鈍感力”を発揮して走行を続けてくれるようなロボコンがあればいいのになぁ、などと考えている。
次回は関東大会の様子も含め、チャンピオンシップ大会参加チームを発表する。難所もすべて突破してパーフェクトな走行を果たすチームは現れるのだろうか!? (次回に続く)
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