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パーティングラインを極めるべし!成型部品設計のツボ(3)(3/3 ページ)

キャビティとコアの分割面が「パーティングライン」(PL)。その条件により勾配付けの手順に工夫が必要となる。今回はモデリングのツボが満載だ

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【モデリングのツボ! その3】パーティングラインが曲面で、抜き勾配が一定な面を持つ形状

 図11のように、抜き勾配が一定の場合には、ドラフトコマンドを使います。しかし、この場合には、パーティングラインを含む面が平面ではないので、エッジを基準に選定します。


図11 抜き勾配が一定の場合
  • 角度方向:成形部品の抜き方向を指し、抜き方向に対して垂直な平面(通常はパーティングラインと同一)を選択します。
  • 基準線:ドラフトを付ける際の基準となるパーティングラインを指定します。パーティングラインが曲線の場合には、製品のエッジを指定します。
  • 角度寸法:任意の寸法を入力します。

【モデリングのツボ! その4】パーティングラインが曲面で、抜き勾配が一定でない面を持つ形状

 図12のように、抜き勾配が一定ではない場合には、ドラフトコマンドではなく、サーフェスコマンドで作成します。


図12 抜き勾配が一定ではない場合

 前述のように、境界のカーブを指定し、その間にサーフェスを作成します。

【モデリングのツボ! その5】スライド形状の抜き勾配

 成形部品にアンダーカットがある場合、スライドを追加して形状を作成します。スライド部分の抜き方向は、キャビティとコアのパーティングラインを基準とした抜き方向(垂直方向)と異なります。第1回で説明したように、金型の抜き方向に垂直な平面に断面を作成して押し出すことが基本なので、スライド部分の形状をモデリングする際には、断面を作成する平面の向きを変える必要があることに注意してください。

 モデリング手順は以下です。

  1. キャビティ部の形状作成:すべての側面には、抜き勾配を付けます。
  2. スライド部分の形状作成:スライド方向に垂直な平面に断面をスケッチし、スライド方向に押し出して立体を作成します。スライドで作成されるキャビティ側には、そのほかの側面とは違い、抜き勾配がありません。
  3. シェルを使用し肉厚形状の作成:2で作成したコア側の面には、抜き勾配がありません。
  4. アンダーカット部分のモデリング:スライドの抜き方向に垂直な平面を設けスケッチを描き、押し出しコマンドなどを使用しスライド部のアンダーカット形状を作成します(図13)。

図13 スライドを持つ形状のモデリング

【モデリングのツボ! その6】押し切り部の抜き勾配

 図14のようなフック形状がコア側にある場合、コア側のアンダーカットをするための押し切り形状が必要になります。


図14 押し切り穴がある形状のモデリング

 モデリングの手順は以下の流れになります。

  1. キャビティ側を作成し、肉厚形状の作成(シェルコマンドの使用)
  2. コア側のフック形状を作成
  3. 穴を開け、必要な抜き勾配を作成

 フック形状をキャビティ側で抜けるようにするためには、アンダーカットを解消する穴を開け、赤ラインのようなパーティングラインに設定します。

  1. 角度方向:パーティングラインと平行面
  2. 角度基準:ドラフト基準面に設定
  3. 角度寸法:押し切り部は、3°以上

 キャビティ側から金型が抜けるように、ドラフトコマンドでは上記のような設定でモデリングを行います。

Profile

佐藤 正(さとう ただし)

1971年埼玉県生まれ。1994年大手金型メーカーに入社。主に家電・自動車部品の金型設計に携わる。アメリカ工場における量産金型立ち上げ、顧客の製品設計支援などを経験した後、2003年ウィッツェルに参画。自動車部品・家電製品など多岐にわたる製品のコストダウンや品質改善のために、後工程(金型製作・射出成形)を考慮した3次元設計&モデリングの指導を行う。



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金型 | 設計 | プラスチック | CAD


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