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板金部品化検討で工数削減&コストダウン事例で知るVA・VEのコストダウン手法ABC(4)(2/2 ページ)

板金部品は加工がしやすいし、コストが安い。精度や剛性が要求されない部品をどんどん見極めて板金化してしまおう

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【設計課題8】ブロックタイプのユニット品から板金形状にする

 図5は各部品をブロックで形成しているスライドユニットです。よくありがちな構成ですが、2本のスライドシャフトにより真ん中のブロックを上下に移動させるようになっています。

 図5右はユニットを背面から見た図です。背面のベースのステイに取り付けられたフォトセンサ(緑色)で、スライドの移動距離をコントロールしています。

 まず、これらの部品すべてがブロックでなければならないのかを検証する必要があります。


図5 ブロックで構成されたスライドユニット

ユニット上部にフォトセンサが実装されている

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*pdfデータを閲覧するには「Adobe Reader」の「7.0」以降のバージョンのインストール(無償)が必要です

VAの候補として選択した部品 その1


図6 ブロックから板金部品に変更可能な部品を選ぶ

 図6の黄緑色のフォトセンサの検知用ブロックは、見たとおり“ブロック形状”なので機械加工で製作することになります。しかし、ここは強度がまったく要求されない部分で、ブロック形状にするメリットがありません。

 そこで右のように板金の曲げ加工で部品を作りました。この方が要求形状へ加工するのも楽です。

どこまで板金化できるか!? 挑戦だ

 さらに、上記で進めてきた課題のVAを行います。

上から見る


図7 部品を上から見てVAする

 ブロック形状では下部プレート、スライド用ロッドホルダ、フォトセンサ検出ブロックとすべてがフライス加工となっていましたが、図7のように青矢印部分(2点)は位置決めのためフライス加工で精度を出し、赤矢印部分は板金加工で形を決める方法にしてみました。

 スライドシャフトは青矢印のフライス加工部で位置決めをしているので反対側は単にネジ止めとしています。曲げ構造が弱い場合には緑矢印部分の曲げ部同士をネジか溶接、リベット(図中、緑の丸2つ)などいずれかで接合して強度を増すことも考えられます。

下から見る


図8 フォトセンサブラケットのVA

Acrobat 3D(pdf) のデータを展開します

*pdfデータを閲覧するには「Adobe Reader」の「7.0」以降のバージョンのインストール(無償)が必要です

 図8の赤矢印(2点)が指しているのは、フォトセンサ用ブラケットです。下の一枚板と一体になっていて、フォトセンサ側に立ち上げを形成しました。青矢印はフォトセンサの検知用プレートで、これもまた板金による曲げとしました。

また、上から見る


図9 ほかのブロックも板金化できないだろうか?

 要求仕様の強度や精度が許すならば、図9のスライドシャフトを支えているブロックも板金にすることが可能です(青矢印2)。この場合、真ん中の可動ブロックも板金による曲げ形状にできます(青矢印1)。このように、あくまで仕様に基づいて、可能な限りどんどんVAを追求すべきでしょう。

 上記のように段階を踏んでVA・VEを行っていけば、結果的に半分以下のコストダウンを実現できます。

 機械加工で製作する部品のコストダウンを考えるなら、板金部品化が最も効果を発揮しやすいといわれています。問題は、要求されている仕様がどの程度かというところになります。剛性、強度を解決できるのであれば板金工程はとても有力な手段です。一体化、折り曲げで強度を上げる、寸法公差を緩められることがキーワードと思います。

 次回のテーマは、複雑形状から単純形状に変更することのメリットについてです。お楽しみに! (次回に続く)

Profile

舩倉 満夫(ふなくら みつお)

製造業に生きて40年、省力化機器製造会社、プレス金型製造会社、半導体製造装置、金型製造会社、ワイヤハーネス用全自動端子圧着機製造会社と経験し、運良く工場内でメンテナンス、機械加工、組み込み、設計、品質管理、生産管理、購買部とものづくりのあらゆる工程を経験。この特異な経験と知識を生かした最適加工および工法により、数々の設計改善・コストダウンを実施してきた。さらにビジネスへと展開するべく、2001年、フナックス・エンジニアリングを設立し、現在に至る。モットーは「仕様に基づいた品質の追求」。



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