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ジレンマを解くツールの使い方を詳細に学ぼうジレンマ解消! TOC思考プロセスの基本を学ぶ(4)(1/3 ページ)

TOCは工場の生産性を改善するだけの手法にとどまらない。相反するニーズの板挟みに悩まされる組織の「ジレンマ」を解消し問題解決を目指す体系的なアプローチ「TOC思考プロセス」を紹介しよう。

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「ジレンマ解消! TOC思考プロセスの基本を学ぶ」
連載目次

第1回:あなたの行動を制約しているのは“ジレンマ”だ

第2回:社内の対立を解消するツールとその使い方を伝授

第3回:芋づる式に問題の根本を発見し解決するツール

第4回:ジレンマを解くツールの使い方を詳細に学ぼう

第5回:“それができれば苦労しないよ”と決め付けないで

第6回:“空飛ぶブタ”を地上に引きずり降ろして勝利宣言



 これまでの連載では、「雲:クラウド」を使った本質的なジレンマを探る方法、そして数多くの問題が中核の雲につながっていることなどをお話ししてきました。その中でジレンマの解き方については若干の説明をしてありますが、今回はあらためてジレンマをどう解くか検討してゆきましょう。

ジレンマの解き方

 私たちはこれまで、身の回りのジレンマをどのように解いてきたのでしょうか。少しおさらいをしてみましょう。従来ジレンマを解くには、以下の方法が知られています。

強制(ウィン・ルーズ) その名のとおり、相手方に強制的にこちらの意見や提案を承諾させるやり方です。

服従(ルーズ・ウィン) こちらが主張を取り下げ、相手の要求を受け入れるやり方です。

回避(ルーズ・ルーズ) その場で解決せず、対立している状況を無視したりして対立状況を回避するやり方です。

妥協・交換・分配(ウィン・ウィン、ルーズ・ルーズ) 互いの要求の優先順位を理解し、互いの要求水準を引き下げて、部分的な実現を図る(妥協)、互いの利害が反しないように取り換える(交換)、時間軸上でずらして解決する、もしくは双方の主張を分け合って決着させる(分配)やり方です。

協調・創造(ウィン・ウィン) 協力し合って本質的な問題を解決するやり方です。互いの意見の中から同意する部分を強調するなどして、両者が納得できる改善策を探る、あるいは本当の要求を見つけ出したり、多面的な角度から柔軟なアイデアを出すなどの方法があります。

 以上のように大まかに分けて5つの方法があるといわれています。思い出してください。TOC思考プロセスの対立の解き方は「妥協ではないウィン・ウィン」を実現することだとお話ししました。となると……、1〜3はわれわれの目指す方向と違うことが分かります。次はこの考え方をベースにTOC流のウィン・ウィンの作り方を検討していきましょう。

企業内のジレンマ

 企業経営の中での対立は、多くの場合、資源の奪い合いによる対立(ジレンマ)が大勢を占めます。突き詰めてみると、

  • 長期 vs. 短期
  • 全体 vs. 個別
  • 市場 vs. マネジメント(ルール)
  • 集中 vs. 分散
  • 結果 vs. プロセス

など5つ程度の対立の図式に収まり、その結果奪い合うものも、

  • お金
  • 時間

など多くても3つ程度であり、極めてシンプルなものだということをお話ししました。

 従って最終的に対立の図式の中で奪い合う資源を明確にして議論することこそ、妥協ではない解決策を実行するために必要なアプローチなのです。DとD'の間で取り合いを起こしているもの、有限な何かを明確にして、その制約を取り除くことができれば、ウィン・ウィンの世界が見えてくるのです。

 企業経営の中で有限なものは、人と金と時間です。いい換えれば企業経営とはこの3つの有限な資源を使って、成長を企図していく営みにほかなりません。私はこの3つの資源の中で究極の制約は時間だと思っています。なぜならば、お金と人はストックすることが可能ですが、時間だけはただ過ぎ去るのみで、決してストックできないからです。限りある時間の中で、人が知恵を絞りお金を生み出し続けることが求められているのです。

「雲:クラウド」を使ったジレンマの解き方

 こういった資源取り合い型の対立(ジレンマ)に対して、われわれの強力なツール「雲:クラウド」を使って解く方法をあらためて考えていきましょう。クラウドの論理(ロジック)を思い出してください(図1)。

  • Aを実現するためにはBというニーズを満たさなければならない
  • Bというニーズを満たすためにはDという行動を取らねばならない
図1 「雲:クラウド」の論理
図1 「雲:クラウド」の論理

 矢印でつながった箱(ボックス)の間には必ず、その論理を成り立たせている理由がありました(図2)。もし、その理由が間違った仮定や思い込みだったとしたら、「雲:クラウド」は間違った条件で作られたのですから、そもそも対立そのものが「無効」な対立であるということになり、ジレンマは解消します。

図2 矢印でつながった箱には必ず理由がある
図2 矢印でつながった箱には必ず理由がある

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